金融

米、円安問題視せず トランプ時代とは一変

 バイデン政権発足後初となる16日の日米首脳会談では、為替政策は課題にならない見通しだ。米国で景気回復が早まる期待から最近の為替相場は円安ドル高の傾向が続き、大規模な金融緩和が続く日本を「円安誘導」と批判していたトランプ政権時代なら争点になる恐れもあった。異例ずくめの大統領に振り回された4年前とは隔世の感がある。

 今年3月31日、東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=110円97銭と約1年ぶりの円安ドル高水準を付けた。4月に入ると新型コロナウイルスの感染再拡大で安全通貨とされる円が買い戻されたものの、1月のバイデン政権発足時には103円程度だったことを考慮すれば円安傾向が続く。

 ただ、イエレン米財務長官は「為替相場は市場によって決められるべきだ」とドル高批判を控えている。為替は経済の実態を反映して動くのが望ましいとの考えは20カ国・地域(G20)など国際社会の共通認識であり、米経済の回復がもたらした今回の円安ドル高を批判しにくい背景がある。

 一方、トランプ氏は米国企業の輸出に不利なドル高を避けたい思惑から、大統領就任直後から「日本や中国は市場をもてあそび、通貨を切り下げている」と批判を展開した。

 米大統領が貿易相手国の為替政策を名指しで批判するのは異例。青ざめた日本側は2017年2月に行われたトランプ政権発足後初の日米首脳会談の直前、財務省で為替政策の責任者を務める浅川雅嗣(まさつぐ)財務官(当時)を訪米させるなど、通商摩擦の回避に奔走した。

 為替介入などで自国通貨を安値に誘導する通貨切り下げ競争は、世界恐慌が起きた1930年代に世界的な貿易縮小を招き、「回避」に努めることが国際社会の合意事項だ。このため、日本は物価上昇を目標に掲げた大規模緩和が結果的に円安につながったとの立ち位置を続けている。(田辺裕晶)

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