半導体大手ルネサスエレクトロニクスは１９日、火災のあった那珂工場（茨城県ひたちなか市）について、火災前水準までの出荷回復時期が、３月１９日の火災発生から１００日前後としていた従来計画から１週間～１０日ほど遅れるとの見通しを明らかにした。ただ、自社の他工場や外部への代替生産を進めるため、市場への影響は限定的としている。
柴田英利社長兼最高経営責任者（ＣＥＯ）がオンラインで記者会見した。柴田氏は、出荷水準の回復が遅れる見通しとなったことに関し、「元々の想定がかなり野心的だった」と説明。半導体製造装置の部品交換や内部洗浄などに少し時間がかかっているという。
那珂工場は今月１７日に生産を再開。同社によると、月末までに従来の生産能力の５０％、５月中には１００％の稼働を目指す。被災した２３台の製造装置のうち、今月中に１７台、５月中にはさらに１台も調達のめどが立ち、４台は他工場で代替できるため当面は調達不要ということも判明した。調達のめどが立っていないのは１台のみだが、この１台が出荷水準回復の遅れにも影響しているという。
一方、柴田氏は、生産再開が当初想定していた今月１９日から前倒しできたことについて「国内外のパートナーの支援をいただいて、奇跡的に生産の再開を実現した」と強調。具体例として補修部品の優先調達や、製造中止になっていた製造装置の一部を別のメーカーが図面から生産してくれたことなどを挙げ、「全世界の方々がここまでやってくれるのかというくらいやってくれて、ようやくここまできた」と謝意を示した。
出火原因に関しては「根本原因の解明には至っていない」としたが、新たな対策として、二酸化炭素を使った自動消火装置を設置することを明らかにした。