金融

英金融大手HSBCが中国シフトで軋轢 英から幹部異動、香港の「自治」動揺

 英金融大手HSBCが上級幹部をロンドンから香港に異動させている。欧州最大の銀行による決定的な中国シフトをめぐっては、行内の一部で軋轢(あつれき)も生じている。

 欧州での損失によりボーナス(賞与)原資削減の憂き目に遭った大中華圏の上級幹部の中には、リーダーが増えることで官僚主義的傾向が強まり、指揮系統も曖昧になり、世界2位の経済大国で事業を拡大しようという同行の取り組みが遅れる可能性があると危惧する向きもある。関係者が明かした。

 今年、投資銀行と商業銀行、ウェルス部門のグローバル責任者が香港に移る中で、シニアバンカーらはHSBCのアジア最高幹部ピーター・ウォン(王冬勝)氏との摩擦を懸念している。アジア太平洋担当の最高経営責任者(CEO)を長く続ける香港在勤のウォン氏にはこれまで「高度な自治」が与えられてきた。関係者の1人は、同氏が異動コストについて不満を漏らしていると話した。

 ただ関係者によれば、同時に一部の行員は香港にリーダーシップを移す動きを同行が強めていることに勇気づけられているという。

 ローカルリーダーの地位はHSBCにとって微妙な問題だ。アジアでほぼ全ての利益を稼ぎ、香港が同行最大の市場であるにもかかわらず、取締役会と最高幹部は欧米人で占められている。

 英マンチェスター大学のイスマイル・エルターク上級講師(銀行業)は「大中華圏市場・経済の力が伸び、HSBCの地理的パワーバランスがシフトしている。だが同行の主な法人株主は依然として国際的な事業体であり、中国勢ではない。これがHSBCにとって複雑な状況をもたらしている」と指摘した。

 HSBCのクインCEOは文書で、「アジア太平洋地域は長期成長計画の中心」であり、香港への幹部異動は「重要な成長地域にグローバルなリーダーシップを担う人材をより多く配置する」という意向を反映していると説明した。最高幹部と直接連携する一部の行員も香港に移るという。

 クインCEOは、幹部の異動がアジア全体で同行の後押しにつながる可能性があると示唆。「この動きはまた、アジア事業全般で協調の大きな機会を生み出す」とコメントした。HSBCは現在、アジアでの利益の80%余りを香港と中国本土という2つの市場だけで得ている。

 HSBCは1865年に香港で創業。創業の地でのリーダーシップは、1993年に本店をロンドンに移して以後で最も強くなる。(ブルームバーグ Ambereen Choudhury、Cathy Chan)

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