金融

米10年債利回り、年内2%も 識者は雇用に弱さで賃上げの必要性を示唆

 米10年債利回りが2%の水準を取り戻す可能性は十分にあると考えられている。

 7日に発表された4月の米雇用統計は予想よりも弱い内容となったものの、米国債弱気派はそこにもっと深いメッセージがあると受け止めた。それはインフレ圧力が高まりつつあり、10年債利回りを2019年以来の水準に押し上げる公算があるとの見方を後押しするものだ。

 トウェンティフォー・アセット・マネジメントのマーク・ホルマン最高経営責任者(CEO)は、予想を大きく下回った雇用統計について、人々を仕事に復帰させるには企業が賃金を引き上げる必要があることを示唆していると解釈し、10年債利回りは年内に2%を上回ると見込む。

 10年債利回りがこの水準に達すれば、市場と経済の両面で新型コロナウイルス禍前の正常な状態への回帰を象徴する形となる。7日の大幅な値動きはホルマン氏と同様の見解の持ち主が他にもいる可能性を示唆している。

 同日の10年債利回りは当初1.46%と2カ月強ぶりの低水準を付けたものの、その後1.58%に反転した。また、インフレ期待を示す10年物ブレークイーブン・レートもいったん落ち込んだ後、約2.5%と13年4月以来の高水準に達した。

 ただ、7日の市場の動揺を全体像で捉えると、債券市場の見通しについての議論はまだ決着していないことが明らかとなる。ポジションの大きな変更の兆しもボラティリティー(変動性)を高めた様子で、利回り上昇がどこまで進むのかさまざまな意見があることを反映している。

 ホルマン氏は「一連の動きを総合すれば、インフレをめぐりやや神経質な私の見方を裏付ける」と指摘。「債券保有者の観点からは、インフレが一段と大きなリスクだ」とし、長期金利がさらに上昇し、「米国債利回り曲線は短期金利の上昇よりも長期金利の上昇が上回り金利差が拡大する一層のベアスティープニングが予想される」と語った。

 一方で、パイパー・サンドラーのマネジングディレクター、ディミトリオス・デリス氏は、10年債利回りの上方シフトはないとする自身の見解を裏付ける根拠として、過去30年間のデータからは10年ごとに利回りが下方にシフトしてきたことが分かると指摘。「債券の強気相場は引き続き健在だ」とし、「2%に達するかもしれないが持続はしないだろう」と話した。(ブルームバーグ Liz McCormick)

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