金融

地銀の半数弱が減益・赤字 21年3月期 引当金コスト重荷

 東京証券取引所などに上場する地方銀行・グループ77社の2021年3月期決算が出そろい、半数弱の36社が前期比で最終利益が減ったか、最終損益が赤字となった。新型コロナウイルスによる融資先の業績悪化を見込んで積んだ引当金が重荷となった。コロナ禍と厳しい経営環境が重なり、経営統合などで再編に乗り出すことを発表した銀行も複数あった。

 SBI証券によると、最終損益の合計は6772億円となり、5年連続で減少した。飲食や宿泊といったコロナの影響が大きい業種から債権が回収できなくなることを想定した引当金などの信用コストがかさんだ。「今までは引き当てをしなかったような企業もかなり対象とした」(地銀大手幹部)という。赤字転落は東邦銀行など3社。

 22年3月期の最終損益予想も30社超が減益・赤字を予想する。SBI証券の鮫島豊喜シニアアナリストは「取引先の倒産などによる損失を緩衝する力が弱い小規模地銀ほどコロナの影響を受けやすく、厳しい予想が多い」と分析した。

 21年3月期に減益・赤字となった銀行は前期より減少した。実質無利子・無担保融資といった政府の支援策で倒産件数が見込みより少なかったり、貸し出しが伸びて自治体から受け取る利子相当額が増えたりしたことが追い風になった。経費削減や株式売却益なども要因だった。

 ただ、人口減少や低金利といった厳しい経営環境が好転したわけではない。業界に詳しい帝京大の宿輪純一教授(経済学)は「銀行の収益力と国内総生産(GDP)は連動する。低成長・低金利の構造不況が続く中では、システムの共通化や再編なしでの将来像が描きにくくなっている」と話す。

 決算に合わせ、青森県地盤の青森銀行とみちのく銀行が経営統合の協議入りを発表するなど再編に向けた動きも出ている。

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【用語解説】与信関係費用

 金融機関が融資先の業績悪化による貸し倒れに備えて積み増す引当金や、倒産などにより債権回収ができなくなった際に生じる損失などを計上した費用。企業の業績悪化を見込むなどして膨らむと、利益を大きく圧迫する要因となる。一方、融資先の業績が回復した場合は、引き当てた費用を取り崩して収益として計上し、与信関係費用は減少する。

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