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韓国が深海にCO2貯留へ 25年から年40万トン計画、閉鎖ガス田を利用 (1/2ページ)

 世界9位の二酸化炭素(CO2)排出国の韓国は、脱炭素社会の実現に向けて、海底の貯留層にCO2を圧入する「二酸化炭素回収・貯留(CCS)」プロジェクトを進めている。

 プロジェクトを運営する国営石油会社の韓国石油公社(KNOC)は、来年生産を終了し閉鎖される蔚山(ウルサン)沖の東海ガス田をCO2の貯留層として利用するために、今年、事業化調査(フィージビリティースタディー=FS)を実施する。KNOCによると、2025年から30年間、年間40万トンのCO2を貯留する計画だという。国内初の主要CCSプロジェクトであるとともに、世界最大級の事業となる可能性もある。

 空スペースで実証

 ただ、韓国政府が多額の費用がかかる方策ではある。各国・地域の政府が環境汚染物質の排出事業者を取り締まる中、CCSのアイデアは排出量をオフセット(埋め合わせ)する方法を模索する石油会社や他の業界が長年目指してきたものだが、大抵は費用面で実用化できずにいた。ただ韓国政府が50年までにCO2排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成を宣言したことから、KNOCは空の貯蔵スペースの利用によりこの方策が機能することを実証しようとしている。

 KNOCのCCS部門でチームリーダーを務めるイ・ホソブ氏は「50年までにカーボンニュートラルを達成する上で、CO2の収集と隔離がますます不可欠な技術になる。このプロジェクトの実行可能性が、韓国の炭素排出量を大幅に削減できることを証明する」と語る。

 CCS技術の展開を推進しているグローバルCCS研究所によると、全世界で導入されているCCSの貯留能力は、20年時点で年間約4000万トンにとどまる。国際エネルギー機関(IEA)は、カーボンニュートラルへの移行に際し、CCSが「重要な役割」を果たすとの見解を示している。

 東海ガス田の実行可能性調査に取り組んでいる公州大学校のクォン・イギョン教授(地球環境科学)は、CO2を岩石層へ圧入して天然ガス採取で失われたスペースを埋めることで均衡がとれるため、韓国の計画は「地質工学的な安定性」に寄与すると説明。原油やガスを強制的に排出するためにCO2を圧入するCCS技術は以前、エネルギー業界に使用されていた。

 クォン教授は東海ガス田について、「CO2の貯留は実際に圧力を安定させる上で寄与するため、韓国初のCCSプロジェクトに適した場所だ」と話す。

 プロジェクトの成功が韓国全土における投資や技術の展開スピードを決める。同国は23年までに大陸棚で年400万トンのCO2貯留を目指している。

 韓国の人口は世界の1%未満だが、CO2排出量は全体の約1.7%を占める。同国経済は鉄鋼や石油化学などの産業に大きく依存しており、専門家は50年までのカーボンニュートラル達成は大変な課題だと指摘する。

 一方、沖合にあるガス生産基地スペースの転用は、既存の海底パイプラインを再利用できることや、国内の代替地を見つけて開発するといった費用のかかるプロセスを省け、費用対効果は高い。KNOCはパイプラインの蔚山側で石油化学、石油精製産業を含む生産施設が排出するCO2を集める。

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