金融

中国、資産バブルつぶしの「もぐらたたき」に躍起 マネー膨張で困難に

 中国が資産価格のバブルつぶしに躍起になっている。7月1日の共産党建党100年記念日を前に市場の安定を確保することが最重要課題となっているためだ。だが、中国には市況商品から住宅、株式、仮想通貨(暗号資産)に至るありとあらゆる市場に資金が流れ込んでおり、一部のバブルをつぶしても他でバブルが発生するという「もぐらたたき」の様相を見せている。

 不動産抑制も株上昇

 中国政府は5月だけでも、金属絡みの投機に対応すると表明し、不動産税構想を復活させた。一部の都市では住宅ローン金利が引き上げられ、仮想通貨のマイニング(採掘)は禁止となっている。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)後の景気回復を支える緩めの金融政策を維持。そのため、資産価格の過熱リスク警戒を重視している。

 JPモルガン・プライベート・バンクのアジア投資戦略責任者アレックス・ウルフ氏は「今の政策トレンドは金融の安定確保が焦点だ。中国政府は強力なレトリックと小幅な政策調整を通じて、ターゲットを絞ったやり方でまずはバブルのリスクを解消したい考えだ」と述べた。

 中国の国債利回りは約3.1%とほぼ9カ月ぶりの低水準だが、超低金利が続く先進国に比べれば高く、国外からの資金が流入。資本規制により行き場のない膨大な本土資金に加わる構図となっており、いわゆるホットマネーが資産価格をかつてないほど押し上げている。

 的を絞った対策はある程度の成功を収めている。商品先物はここ数週間で記録的高値から値下がりし、仮想通貨も大きく下げた。

 ただ、この対策は「もぐらたたき」のようだ。金融市場で一部の相場を抑制すれば、他の資産が値上がりする。中国株の指標CSI300指数は5月25日、香港との株式市場接続を経由した資金流入と、中国で2番目に大きな上場投資信託(ETF)が前例のないほど買われたことで3%余り上昇した。

 あるいは、こうした全てが共産党による大戦略の一部かもしれない。本土株上昇は商品市場から熱を奪う可能性があり、人民元高は輸入原材料コストを押し下げる公算が大きい。そうなればインフレ圧力は弱まり、中国人民銀行(中央銀行)は緩和スタンスを維持することが可能となる。建党100年を控える中で、共産党と習近平総書記(国家主席)には「強い」金融市場が必要だ。

 ただ相場上昇が止まらず、政府のコントロールの及ばない力が市場を動かすようになるリスクもある。そうなれば、人民銀は流動性吸収や利上げといったより強力な手段に訴えざるを得なくなるかもしれない。

 国内滞留が最大制約

 当局はまた、マクロではなくミクロのレベルで積極的な対策を講じることを一段と好むようになっているようだ。ロイター通信は5月26日、銀行保険監督管理委員会(銀保監会)が商品先物に関連した投資商品の小口客への販売をやめるよう各金融機関に求めたと報じた。

 また、関係者によると、中国はトウモロコシ輸入急増への懸念から、一部輸入の規制を強化した。JPモルガンのウルフ氏は「中国のように資本勘定を閉じたまま与信経路を介して政策を緩めれば、資金は国内にとどまり封じ込められる。マネーは行き場を必要としており、それは住宅かもしれず株式かもしれず、金融システム内を移動することになる。これが政策が抱える最大級の制約であり、中国が今年、刺激策の引き揚げを急いでいる理由だ」と語った。(ブルームバーグ Sofia Horta e Costa)

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