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G7サミット11日開幕 焦点山積、試される民主国家の結束

 【ロンドン=板東和正】先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が11~13日、英南西部のコーンウォールで対面方式で開かれる。トランプ前米政権時に亀裂が生じたG7が再び協調し、民主主義陣営の結束を示せるかが試される。米欧間の温度差が指摘される中国への対応や、新型コロナウイルスワクチンの特許問題などの協議が焦点となりそうだ。

 G7は主要先進国による経済政策を調整する枠組みとして発足。1975年に開催された初回のサミットは、石油危機などで経済低迷に見舞われる中、ジスカールデスタン仏大統領(当時)の呼び掛けで実現した。

 その後、民主主義を理念とする西側先進諸国が年に1度、国際情勢など世界の主要問題を議論する場となったが、中国やインドなど新興国が台頭して以降、影響力が低下。「自国第一」を掲げるトランプ前米大統領が2017年に就任後は米欧の亀裂が露呈し、G7の凋落が懸念された。

 今回のサミットが初出席となるバイデン米大統領は一転して多国間主義をとり「G7の本格的な再生」(英与党・保守党議員)に期待がかかる。連携に向けた機運が高まる中、議長国の英国は、加盟国のほか、オーストラリア、インド、韓国、南アフリカの首脳をゲスト国としてサミットに招き、民主主義国の協力関係を強化する狙いだ。

 ただ、連携の実現に向けた課題は山積している。

 サミットでは、中国による覇権的な海洋進出のほか、新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害や香港での民主派排除などを集中的に討議する会合を設ける予定だ。

 G7は5月の外相会合の共同声明で、中国の人権侵害に「深い懸念」を示したが、「(各国の)国内で利用可能な手段」で対応するとの表現にとどまった。

 中国との経済関係を重視するドイツやイタリアが中国による報復を危ぶみ、具体策に踏み込めなかったとみられている。

 中でも、独自動車大手フォルクスワーゲンの販売台数の4割が中国向けとされるドイツは中国離れが容易ではない。ドイツのメルケル首相は「欧州連合(EU)には独自の中国政策がある」としており、中国に対して決然とした姿勢を打ち出すバイデン米政権と足並みをそろえられない可能性がある。

 中国による巨額融資を通じた影響力拡大を阻止する戦略でも、G7が一枚岩になれるかは不透明だ。

 米ブルームバーグ通信によると、サミットでは、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する新たな構想について協議される。各国は構想の必要性で一致しているものの、資金拠出の方法や重点的に支援する地域について意見が分かれているという。

 一方、新型コロナのワクチン不足が深刻な途上国の救済策も主要議題になる。

 英首相官邸は5日、ジョンソン首相がサミットで、来年末までにワクチンを全世界で接種可能にするとの目標を提案すると発表した。だが、目標実現のためにワクチン供給を増やす具体策について、各国が合意できる保証はない。

 インドや南アフリカはサミットで、供給拡大のためワクチン特許の一時放棄を訴える見通しだ。米政権は5月に先進国の先陣を切り放棄を表明したが、欧州や日本は難色を示している。余剰ワクチンを海外に提供する意思表示も各国に差が生じており、「ワクチン問題はG7の溝を深める危険性がある」(欧州政治の英専門家)との見方もある。

■コーンウォール 英グレートブリテン島の南西端に位置するイングランド地方の州名で、国内で最も長い海岸線があることで知られる。

 18世紀後半以降の産業革命時代、鉱業が栄え、陶器の生産地として世界で名を知られた。その後、鉱業、製陶業は徐々に衰退し、現在は観光産業が地域経済を主に支えている。

 11~13日に開催される今回のG7サミットは、州内有数の海辺の保養地として知られるカービスベイがメイン会場に選ばれた。開催による地域への経済効果が期待されている。

 G7サミットは2019年8月の仏ビアリッツでのサミット以来、約2年ぶり。菅義偉首相にとって就任後初のサミットで、今秋で政界引退するドイツのメルケル首相は最後の出席となる。米国が議長国だった20年のサミットは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で見送られた。

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