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「このままでは日本車は本当にヤバい」自動車評論家が決死の覚悟でそう訴えるワケ (3/3ページ)

 バッテリーごと交換できる中国のNIO

 中国でも新しいEVの流れが勢いを増しています。

 2014年創業の中国の「NIO(ニーオ・蔚来汽車)」は、「中国のテスラ」とも呼ばれる高級志向のEVベンチャーですが、2021年1月に、容量150kWhの電池を搭載し、1000kmもの航続距離を実現するセダンタイプの新型EV「ET7」を発表しています。

 NIOは同時に「2022年には開発中の全固体電池を搭載可能とするシステムを展開する」とも発表し、株価が急騰しています。

 NIOのEVは大容量バッテリーが売りです。大容量バッテリーはふつう、充電に時間がかかるのが弱点ですが、NIOでは充電する代わりに、バッテリーごと交換するシステムを開発。バッテリーを積み替える交換ステーションは中国にすでに200カ所ほどありさらに増やす計画が立てられています。

 その一方で中国では50万円を切る小型EVも普通に売られています。日本の軽自動車メーカーは、軽自動車サイズで50万円を切る中国製EVが入ってきたときに、どのように迎え撃つのでしょうか。そういう勝負にも日本メーカーは備えないといけません。

 政府は本気で電動化を進める気があるのか

 2021年1月、菅義偉首相は「2035年までには国内の新車販売において100%の電動化を実現する」と述べています。世界の流れを見れば当然の発言であり、それによって日本国内でもEVに注目が集まり、議論が起きるのは非常にいいことだと感じます。

 EVのシェアは今後、どんどん上がっていきます。日本だけを見たらハイブリッド(HV)やプラグインハイブリッド(PHV)があるので、そこまで急速には上がらないかもしれません。でも自動車メーカーはどこもグローバルなビジネスをしており、世界全体がEVにシフトしているのは明らかなのですから、もっともっとEVに注力していかなければなりません。

 政府も本気で自動車の電動化を進めると言うなら、せめて補助金ぐらいはもっと計画的に設定してはどうでしょうか。

 例えば僕がトヨタの「ミライ」を買ったときは、新型として車が出て、買って、車が来て、その後にやっと補助金の額が分かるという具合でした。今でも毎年、年度が変わるたびに監督省庁では「来年はこうなります」とか「いえ、今は年度の切り替わりで補助金額が分かりません」などと言っています。

 「日本沈没」にもなりかねない

 現状でEVの売れ行き、普及を決めるのは補助金です。そんな状況では買うほうも手を出しづらいし、企業も販売戦略を立てられません。

 今は日本にとって、本当に大事な時期ではないかと感じています。自動車のEV化の流れには、絶対に備えなくてはいけません。テスラやNIOのような強力な新興勢力と戦って勝ち続けないと、日本の自動車メーカーにはもう先がないのです。

 そのためには世界に目を向け、大変革をしなければなりません。

 自動車関連企業のみなさん、テスラや中国EVメーカーに勝つための企業戦略を真剣に立ててください。もしみなさんが負けて沈没したら、GDP(国内総生産)も個人消費も落ち込んで、「日本沈没」という事態にもなりかねません。それぐらい強い意識で、危機感を共有してほしいのです。

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 五味 康隆(ごみ・やすたか)

 モータージャーナリスト

 1975年、神奈川県に生まれる。1989年より自転車トライアル競技を始め、世界選手権に出場。1994年、自動車レース競技に転向し、2001年までの3年間は全日本フォーミュラー3選手権に参戦した。その後、各種安全運転スクールの講師やドライビングインストラクターとしての活動を経て、2003年よりモータージャーナリストとして評論や自動車雑誌等への執筆、メーカーの先行開発協力などを行う。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTube「E-CarLife」/Webサイト

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 (モータージャーナリスト 五味 康隆 構成=久保田正志)(PRESIDENT Online)

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