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時短「お願い」でも補償なし…宣言延長、苦境の業界は今

 新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴い営業時間短縮への協力を求められる一方、応じても補償がないという業界がある。宣言延長で措置内容が緩和された今月1日以降も、こうした状況は大きく変わらない。「対応を後回しにされているのでは」。不透明な先行きに、当事者から悲痛な声が上がる。(中井芳野、小川原咲、花輪理徳)

 「休業や時短をしたくないわけではない。補償体制を整えた上での要請なら応じていたが、現状では営業以外の選択肢はない」。大阪市淀川区のミニシアター(小規模映画館)「第七藝術劇場」の小坂誠支配人(33)が語気を強める。

 怒りの背景には不透明な行政の姿勢がある。

 床面積が1千平方メートル以下のミニシアターの場合、5月11日までは新型コロナ特措法に基づかない時短への「協力依頼」が呼びかけられていた。同12日以降は法に基づく時短要請に変わったが、6月以降は再び協力依頼に。ただいずれの期間についても、協力金の支払いの対象ではない。

 これに対し、床面積1千平方メートル超の大型映画館では事情が異なる。休業要請に応じれば、1千平方メートルごとに1日20万円の協力金が支払われるため、差は大きい。

 「経済的支援がない以上、営業を続けるしかない」と小坂支配人。従来の営業時間を1~2時間繰り上げ、入場を制限するなどして感染防止対策を図るが、行政への不信感はぬぐえない。「ミニシアターへの対応は後回しにされているように感じる。失望している」と肩を落とす。

 床面積1千平方メートル以下の店舗に協力金がないという状況はゲームセンターでも同じだ。

 「よそのことをうらやんだり妬んだりしたくない。けれど、同じゲームセンターでも協力金がもらえる店はうらやましい」。大阪・新世界にあるゲームセンター「かすが娯楽場」の店長、小林晋(すすむ)さん(66)はこうつぶやく。

 府の要請に従い、午後7時半ごろには店を閉めている。国内外の観光客でにぎわっていたコロナ禍前と比べ、売り上げは7~8割減少。協力金も得られず、「かなりしんどい経営状況」(小林さん)。持続化給付金などの支援制度を使い、何とか従業員3人の雇用を維持している。

 店内に並ぶゲーム機は1日に何度も消毒し、複数のゲーム機が並ぶ間には飛沫防止用のビニールカーテンを設置した。コインゲーム用のコインも専用の機械でこまめに洗浄している。

 小林さんは「コロナ禍が長引いてじわじわとダメージを受けている。とにかく早く多くの人がワクチンを打てるように祈るだけ」と話した。

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