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「国産新車か、輸入中古車か」激戦の小型SUV市場で新型ヴェゼルが売れているワケ (2/3ページ)

 ■「国産新車or輸入中古車」という贅沢な悩み

 たとえばヴェゼルとほぼ同じボディサイズであるアウディのコンパクトSUV「Q2」は、2019年式で走行距離7000km台の個体が338万円、BMWのコンパクトSUVである「X1」の場合、2019年式で1万3000km台だと一例で299万円。ざっと調べただけだが、おおよそこのあたりの価格を底値として数多くの台数が流通している。

 ちなみにメルセデス・ベンツのコンパクトSUVである「GLA」も2020年に登場した2代目こそさすがに高価だが、初代モデルの後期モデルであれば2019年式/1万1000km台で318万円という個体も見受けられた。

 また、MINIとSUVのクロスオーバーを名乗るMINI「MINI クロスオーバー」も2020年に実施されたマイナーチェンジ前モデルであれば、2019年式/1万5000km以下の低走行車でも200万円台で流通する。

 取り上げたQ3、X1、GLAはいずれも新車価格が400万円台。MINIクロスオーバーにしても395万円スタートだ。それが2年落ちの中古車であれば、新型ヴェゼルの最上級モデルに少し予算を足せば手が届く程度に落ち着く。

 また、中古車といえども走行距離が少なく、おしなべて丁寧に乗られている個体が多い。さらに正規輸入車であれば新車登録から3年間のメンテナンスパックなるものが用意され、お目当てのモデルが加入対象車であれば点検整備などのランニングコストも抑えられる。国産新車か、輸入中古車か、コンパクトSUV選びにはこんな贅沢な悩みも含まれる。

 ■輸入車を検討するユーザーにも響くデザイン

 冒頭に新型ヴェゼルの販売が好調と紹介したが、前述した輸入車のコンパクトSUVを中古車で検討している層からも新型ヴェゼルは注目されている。

 輸入車ブランドはそれぞれに個性が強く、それは各モデルのデザインにも強く表れている。20~50歳代にかけ幅広い層から引き合いがあるが、一方の新型ヴェゼルも個性では負けておらず、輸入車を購入対象とするユーザーにも響く。

 新型ヴェゼルの開発責任者であり、現在は本田技研工業・四輪事業本部事業統括部にてビジネスユニットオフィサーでシニアチーフエンジニアを務める岡部宏二郎氏は、「初代のこだわりである内外装デザインをそのままに、新型では徹底した統一を図ることで表現力を高めました」という。どこを、どのように高めたのか伺ってみた。

 「たとえば、内装ではさまざまな素材が使われているため見た目と違って、センターコンソールやドア周辺など、手に触れるところの感触が微妙に異なり、それが上質さの低下を招いていました。新型では異なる素材であっても、手触りや肌触りとしての感触を統一させています」。

 実際、試乗してみると運転席回りの視界は広く開放的で、岡部氏の言葉通り、手に触れる部分の統一が図られている。

 ■「オープンカーのそよ風」をイメージしたエアコン

 シリーズハイブリッド方式であるe:HEVにしても、同システムを搭載する「フィット・ハイブリッド」からエンジン、モーターともに強化して新型ヴェゼルの重量増に対応。容量を増加させた駆動用バッテリーと相まって、市街地ではエンジンを停止させたEV走行での距離を伸ばしつつ、山道から高速道路では余裕ある走りが楽しめる。先進安全技術群である「Honda SENSING」もシステムの精度を高めてきた。

 また、運転席右前、助手席での左前にあたるエアコンの吹き出し口にはダイヤルを設け、それを回すことで吹き出す風を生み出す。「オープンカーに乗っているときに感じるそよ風をイメージした」(新型ヴェゼル開発担当者)というそれは、「そよ風アウトレット」と名付けられた。

 愛車をマツダのオープンカー「ロードスター」とする筆者にはその狙いがよくわかった。肌をフワッとなでるようなやわらかな風は、エアコンの直接風が苦手な人にも受け入れられるだろう。

 キャビンの使い勝手も良い。ホンダ独創のセンタータンクレイアウトによる後席座面の跳ね上げ機構「チップアップ&ダイブダウン機構」は新型にも受け継がれた。背の高いかさばる荷物を後席ドア側から出し入れできるため非常に重宝する。

 初代のセールスポイントだった広大なラゲッジルームもフラットな床面とともに継承されている。電動開閉式テールゲートの「予約クローズ機能」や、ゲートの開閉に連動してトノカバーが引き出し/収納される「吊り下げ式トノカバー」も地味に便利だ。

 ■SUV市場で強い個性を放つデザイン

 2代目となる新型ヴェゼルが登場した際、マツダのSUVである「CX-5」やトヨタのSUV「ハリアー」などに似ている、という評価がなされた。たしかに画像の上では、筆者も失礼ながらその印象を抱いた。

 しかし実車は似ていなかった。ボディサイドには一直線にキャラクターラインが入り、ボディ全体を大きく見せつつ(実寸は先代とほぼ同じ)、ボディ前部のグリルはボディカラーと同色にしてグリルレス感を演出する。

 そして何より、初代から受け継がれた都市でもアウトドアシーンでも馴染む内外装デザインは、粒ぞろいのコンパクトSUV市場でも強い個性を放っていることが確認できた。

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