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G7サミット「対中包囲網」で日本企業板挟み、市場消失に懸念

 13日に英国で閉幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)では、経済安全保障への関心が高まる中で、対中国での結束が主要なテーマとなった。対中包囲網の強化は、サプライチェーン(供給網)の中国依存脱却や先端技術の流出阻止といった対応策につながり、日本企業にもプラスの影響をもたらしそうだ。もっとも、日中の経済的な結びつきは強く、日本企業からは市場を失うことなどへの懸念も聞かれる。

 「権威主義的国家に対抗する姿勢を踏み込んだ形で示されたことは画期的だ」

 経済同友会の桜田謙悟代表幹事は共同声明の内容を受けた13日、G7で各国が対中国で一枚岩になったことを高く評価した。

 G7では日米欧の協力による供給網の強靱(きょうじん)化について話し合われたほか、研究データの流出を防ぐための共通指針も打ち出した。共同宣言では、中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区における人権侵害への懸念も示された。

 桜田氏は「中国の影響力の拡大や、中国への過度な依存、特に重要品目のバリューチェーンに係るリスクに向き合い、したたかな対応を模索する必要がある」と主張。経団連の十倉雅和会長も13日、中国の名指しを避けつつ、「自由、民主主義、法の支配、市場経済など共通の価値観・理念の下に結束したこと自体、大きな意義がある」と前向きに評価した。

 こうした期待の背景にあるのは、日本を含む世界各国がレアアース(希土類)をはじめとする部品や素材の多くを中国に頼っていることへの危機感だ。過度な中国依存の引き下げは「将来リスクを減らす上でも必要」(電機大手)。日米欧の企業は先端技術入手の標的とされてきただけに、流出対策も急務だ。

 一方で「分断」を警戒する声もある。

 トランプ前米政権下で実施された対中制裁では、日本企業も中国工場からの対米輸出などで少なからず影響を受けた。ソニーは画像センサー事業で中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)向け出荷の一時停止を余儀なくされた。中国政府もレアアース生産の統制を強めるなど対抗策を相次ぎ打ち出しており、対立が激しくなれば板挟みに陥りかねない。

 日本にとって中国は2007年以降、輸出入総額でトップを占め続けている重要な貿易相手。「(中国と)日本や他国との関係は安定していることが望ましい」(化学大手)のも事実で、中国との距離のとり方をめぐる議論も重要となりそうだ。(井田通人)

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