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G7、デジタル人民元普及に警戒感 次世代の金融覇権は民主主義国か覇権主義国か

 対中国包囲網の形成が焦点となったG7サミットの流れを受け、年後半に注目されるのがデジタル通貨をめぐる動きだ。中国が開発を急ぐデジタル人民元の普及を封じ込めるべく、G7は今秋にも中央銀行デジタル通貨(CBDC)が順守すべき原則をつくる。次世代の金融覇権を民主主義国と覇権主義国のどちらが握るのか、主導権争いが激化する。

 「CBDCは適切なプライバシーの枠組みの中で運営されるべき。われわれは共通の原則に向け作業し、年後半に結論を公表する」

 G7はサミットの前哨戦として5日までロンドンで開いた財務相会合の共同声明で、CBDCの根底には法の支配や透明性といった先進国の共通理念があるべきだとの考えを明記した。

 CBDCは中央銀行が電子的に発行し、現金のように幅広く使える新たな決済手段だ。制度設計次第で中銀は買い物の内容や送金履歴といったデジタル情報を把握できるため、プライバシーの侵害や利用者の監視などに悪用される可能性も懸念されている。

 G7の視線の先にあるのは中国が開発するデジタル人民元だ。中国は2020年10月から大規模な実証実験を始め、北京冬季五輪が開かれる22年までの発行を目指す。巨大経済圏構想「一帯一路」に参加する周辺国で、新たな決済通貨になると警戒されている。

 中国にはドルを中心とした国際決済システムの外側に新たな通貨圏を構築し、ドル送金の停止といった米国の金融制裁の効力をそぐことができれば、覇権争いで優位に立てるとの思惑がある。

 こうした動きを牽制(けんせい)するため、G7もCBDCの検討を進める。日本銀行は4月から実証実験に着手し、送金や流通といった通貨の基本機能の検証を始めた。欧州中央銀行(ECB)も、数カ月以内に実証実験の是非を判断する見込み。米連邦準備制度理事会(FRB)も今夏、CBDCの利点やリスクに関する報告書をまとめ、検討を本格化させる。

 野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、通貨の発行は国家主権の問題であり、「G7がCBDCの原則を作ってもデジタル人民元の発行は止められない」と指摘。一帯一路の参加国が中国通貨圏に取り込まれるのを防ぐには、より利便性が高いデジタルドルの発行で対抗するしかないと分析する。(田辺裕晶)

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