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経済団体や医療業界も支援 中小「職場接種」の活路は代行サービス?

 新型コロナウイルスワクチンの職場接種が一部で始まるなど、大企業を中心に準備が進む中、接客業を中心に中小企業でも実施を模索する動きが強まっている。打ち手や会場の確保など課題は多いが、業界団体単位でまとまったり、民間業者の代行サービスを利用したりすることで活路を見いだす企業も少なくない。接種加速につなげるため、経済団体や医療業界も支援に乗り出している。

 不動産業者約6700社が加盟する「神奈川県宅地建物取引業協会」は、宅建協会では全国で初めてとなる職場接種を決めた。以前から交流のある県歯科医師会と連携して打ち手を確保。7月上旬から8月下旬にかけ、入居する県不動産会館の会議室を使い、加盟企業の従業員ら約3千人の接種を行う予定だ。

 同協会の草間時彦会長は「対面で顧客と接する機会が多いため、いち早く検討した。職場接種が進めば、自治体の負担を軽減できるのではないか」と話す。

 政府は医療従事者と会場の確保を企業側に求めているため、産業医が常駐しておらず、社内スペースに限りのある中小企業が自前で実現するにはハードルが高い。東京と横浜に本社を構えるタクシー会社でも会議で議題に上がったが「運転手は高齢者が多いので、自治体の接種が進むのを待つことにした」という。

 中小の製造・加工業者が集まる京浜地区の団体も医療従事者と会場の確保で行き詰まり、地元自治体に相談。担当者から「保育士など、より優先すべき職種があるので、現段階で全面的に協力するのは難しい」との見解を示され、当面実施を見送ることにした。

 こうした中、東京23区内で8万社を超える会員企業を抱える「東京商工会議所」は主に飲食業や宿泊業からの要望を受け、共同接種の実施を決定。東京駅近くの会議室に会場を設け、7月上旬から9月末までの間、従業員50人未満の企業を対象に受け付ける。

 打ち手の確保には東京都医師会の協力を仰ぐ見込みだ。都医師会は「幅広い世代で、どんどん打っていくことが最も効果的」(尾崎治夫会長)として、中小企業や商店街での接種を支援する姿勢を見せている。今月下旬にも都歯科医師会、都薬剤師会、都看護協会と共同で「東京ワクチンチーム」を立ち上げ、地域の商議所と連携しながら規模に応じて医療従事者を派遣するという。

 もっとも、慣れない共同接種の課題を指摘する声もある。「(自分たちに)医療のノウハウがなく、衛生面なども含めスムーズに進められるか分からない」。東京商議所の担当者はこう述べ、自治体での接種も同時進行する中で「どれほどの人が接種を希望するかも不透明だ」とも話した。

 一方、職場接種の代行サービスを始めた「サステナブル・プランニング」(東京都千代田区)には、1日約100件の問い合わせが殺到している。

 不動産会社やアパレル、携帯電話の販売業など業種は多岐にわたり、申し込みを受け付けた約400社のうち3分の1は従業員が1千人未満の企業。「人数で制限があるのは不公平だ」と、大企業を優先する政府方針に不満を漏らす声もあるという。

 同社はインフルエンザワクチンの企業での接種をサポートしてきており、今回の職場接種でもそのノウハウを生かす。会場は都内のホテルから無償提供を受け、規模が小さい企業は、まとめて接種を行うという。福井全(ぜん)代表取締役は「コロナ以前の経済活動に戻すためにもワクチン接種がカギを握り、各社とも必死になっている。手助けしながら接種を進めていきたい」と話している。(浅上あゆみ)

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