金融

東京五輪の経済効果1兆7214億円 観客上限1万人で試算

 1カ月後に迫る東京五輪・パラリンピックは会場の観客数上限が定員の50%以内、最大1万人と決まり、野村総合研究所の試算では経済効果は1兆7214億円となる。観客を完全に受け入れる場合と比べ894億円減少する見込みだ。ただ、人流の増加が新型コロナウイルスの感染再拡大を招けば、経済効果を上回る損失が出る可能性もある。

 東京都内には27カ所の競技会場があり、収容定員は計34万8100人に上る。野村総研の木内登英エグゼクティブ・エコノミストによると、今回決まった観客数上限を当てはめると、実際に受け入れられる観客はこのうち39%にとどまる。

 観客数を絞ることで、完全に受け入れる場合の経済効果(1兆8108億円)に比べチケットや宿泊、交通など関連消費が抑制され経済効果は縮小する。感染状況が悪化すれば無観客開催の可能性もあるが、その際の経済効果は1兆6640億円に低下するという。

 一方、感染拡大が4回目の緊急事態宣言につながれば3兆~6兆円の損失が別途発生する見込み。木内氏は「観客数制限で失われる経済効果に比べ、感染再拡大の損失は格段に大きくなる。リスクが高まればさらなる制限や無観客開催を考えるべきだ」と指摘する。

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