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ラーメン100円「ありがとうボタン」 茨城でコロナ困窮者を支える

 新型コロナウイルスの影響で困窮し、ラーメンさえも満足に食べられない人がいる-。こうした人たちの食生活を支えようと、茨城県つくば市のラーメン店の券売機に設けられた1杯100円の「ありがとうボタン」が反響を呼んでいる。

 筑波大などの学生街がある同市天久保に今年4月にオープンした「活龍大衆麺処 真壁屋」。暖簾(のれん)をくぐると、そのボタンは券売機の右下にある。「こちらのボタンは今、食べ物にも困っている方のみお買い求めください」との説明書きが添えられている。

 食券を100円で購入して店員に渡す際、値段に関係なくメニューにある好きなラーメンを伝えると、そのラーメンが食べられる仕組み。100円のラーメンが食べられるのではなく、「100円で店の好きなラーメンを選んで食べることができる」のだ。

 これには真壁屋など同県内でラーメン店を14店経営する芝山健一社長(38)の「お客さんに戻ってきてほしい。ラーメンで恩返しがしたい」との強い思いがある。

 コロナ禍により外出自粛や飲食店の時短営業で店の経営の苦境が続く中、芝山社長は客からこう聞いた。「家族で食べるラーメンが贅沢(ぜいたく)になった」。常連客が減ったという実感もあったが、衝撃的な言葉だった。

 そこで、コロナ禍にオープンさせるラーメン店のブランドを考えた際、自分ができることとして頭に浮かんだのは「ラーメンで恩返し」「ラーメンで支える」という思いと、「ありがとうボタン」を設けるというアイデアだった。ラーメン店を始めて今年で17年目、長年支えてくれた客や生産者、取引業者など多くの人たちへの感謝を込めた真壁屋のコンセプトは「恩返し」。店名は芝山社長の出身地である同県桜川市真壁町から名付けた。

 「ありがとうボタン」の情報はツイッターやフェイスブックに投稿すると、瞬く間に広がった。年齢制限なしで誰でも利用できるため、アルバイトのシフトに入れず収入が絶たれた大学生から一般の大人、家族連れまで、1日平均7、8人が利用しているという。芝山社長には「2日ぶりにご飯を食べました」というメッセージも寄せられた。

 無料ではなく100円にした理由について、芝山社長は「無料だと遠慮してしまう人がいるから。ただ悪用は禁止です」と強調する。過去には大学生へ米の寄付活動を行ったこともあるが、実際に食べている姿を見ることができないため中止した。食べている笑顔が見たいからこそ、お腹が減ったら100円を持って店に来てほしいという。

 採算度外視の「ありがとうボタン」を利用するにあたっての約束は2つ。それは「食に困らなくなるまで恥ずかしがらずに何度でも『ありがとうボタン』を使って、同じような状況の人に教えてあげてほしい」ということと、「外食ができる余裕ができたら、ラーメン屋に限らず、よく行った店やなじみの店に行ってもらいたい」ということだ。

 芝山社長は「大変な状況だが、『ありがとうボタン』を機に外食を楽しんでほしい。なじみの顔を見ると安心するし、来ないと心配する。コロナが収束し、『ありがとうボタン』が無くなる日が来ればいいと思っている」と力を込めた。

 ラーメンの種類は「中華そば(390円)」「魚介豚骨つけ麺(550円)」「背脂とんこつラーメン(460円)」「鳥白湯(ぱいたん)ラーメン(490円)」「油そば(500円)」。麺には国産小麦を100%、野菜は地場産で、調味料なども国産を使用する。手頃な価格だが、味やボリュームは一切妥協していないという。

 営業は午前11時半~午後2時、午後5時半~同9時半。不定休。問い合わせは同店(029・860・7710)。

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