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サイバー攻撃情報を350組織で共有 東京五輪・パラへ態勢強化

 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は7日のサイバーセキュリティ戦略本部(本部長・加藤勝信官房長官)の会合で、東京五輪・パラリンピック期間中のサイバー攻撃に備える対策を明らかにした。過去の大会期間中には攻撃の増加が認められており、NISCは関連企業など350組織での情報共有態勢を整えるなどの取り組みを進めている。

 大会関連のサイバー攻撃対策は、攻撃に対処する態勢を整備できているかのリスクアセスメント(評価)を関係団体に促す事前対策と、関係団体がサイバー攻撃を受けた場合に情報を共有する態勢を整備するという事後対策の2本柱だ。

 事前のリスク評価は、大会開催への影響が大きい交通や通信などの重要事業者についてはNISCが直接実施。サイバー攻撃を受けてもサービスが継続されるように努めた。新型コロナウイルス禍で在宅勤務が増えたことは「セキュリティーが脆弱(ぜいじゃく)になる」(NISC)要因であり、対策の見直しも行ったという。

 また、攻撃が起きた場合に対処する態勢の整備に向けては、サイバーセキュリティ対処調整センターを通じて関係組織間で情報を共有する。これまでに関係組織が参加した5回の訓練を開催してきた。

 NISCによると、近年は五輪が近づくとサイバー攻撃が増加する傾向があるという。2018年の平昌大会では期間中に約550万件、準備期間中に約6億件の攻撃が確認された。

 日立製作所系のIT企業、日立ソリューションズ・クリエイトは東京大会が国内で第5世代(5G)移動通信システムが実用化されて初の大会となるため、「新しい技術には新しいリスクが伴うことも否定できない。個人情報が盗まれる偽のフリーWi-Fiスポットが出現することも考えられる」と指摘している。

 ただ、NISC関係者は「サイバー攻撃の対策が万全だと強調し過ぎると、悪質な攻撃者を逆に刺激してしまうことになる」とし、これまで関係団体と準備してきた対策を地道に進めて大会に臨む構えだ。 

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