金融

「人員増強しDX加速」 西日本FHの村上英之新社長に聞く

 6月に西日本フィナンシャルホールディングス(FH)社長と傘下の西日本シティ銀行頭取に就任した村上英之氏(60)が、産経新聞のインタビューに応じ、デジタル技術でビジネスを変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)について「新たなビジネス領域の開拓につなげたい。人員増強し、流れを加速させる」と、強い意欲を示した。非金融部門の収益強化に向けて人材派遣やシステム販売などの分野も「検討の余地がる」と述べた。詳細は次の通り。

 少子高齢化という根本的な問題に加え、想定以上に長引いている日銀によるマイナス金利政策や新型コロナウイルス禍-。地域金融機関を取り巻く環境は大変厳しい。同時にDXやSDGs(国連の持続可能な開発目標)など新しい社会的課題への対応も急がれる。

 厳しい経営環境の中、私自身が策定委員長を務め、昨年4月にスタートした中期経営計画(中計)にのっとって、着々と具体的な施策を展開していく。新型コロナが影響を及ぼすとまでは想定していなかったが、コロナやDX、SDGsなどを踏まえた中計になっている。この基本戦略に沿ってやっていけば間違いないと思っている。

 伴走型支援

 今、特に力を入れていかなければならないのは、新型コロナの影響を受けた取引先の支援だ。厳しい環境に置かれた企業に対しては経営改善や助成金活用の助言など伴走型支援をしっかりやっていかなければいけない。

 コロナ下では「K字回復」と呼ぶことができ、企業業績も二極化している。業績が良好な企業に対しては、さらなる発展に向けた設備投資やM&A(企業の合併・買収)などのサポートが必要だ。

 中計1年目の成果としてDXの進展が挙げられる。銀行内部の業務やスマートフォンアプリ、法人向けサービス「NCBビジネスステーション」など銀行と顧客をつなぐツール、営業接点のデジタル化は順調に進み、恒常的な経費も相当削ることができた。

 今後はDXによって新たなビジネス領域の開拓につながるようなレベルにまでもっていかなければいけない。昨年4月にデジタル戦略部を新設し、IT統括部と合わせて100人規模にまで人員増強した。この流れを加速させたい。

 もう一つがSDGsやESG(環境・社会・企業統治)への取り組みだ。これまでわが社は、文化芸術活動の支援や企業経営者の顕彰など社会貢献に力を入れてきた企業の一つだと思っている。これをSDGsやESGに沿った方向で再定義し、一層強化していきたい。

 カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)という不可逆的、世界的な流れの中で、銀行グループがどうやって支援できるかということをしっかり考えていかなければいけない。中小零細企業への制度紹介や(持続可能な経済活動を支援する)サステナビリティ・リンク・ローンなど顧客のESG支援につながるような金融手法を検討していきたい。

 虚心坦懐

 銀行従来の預貸業だけで収益を上げるのは難しく、新しいことにもチャレンジしていかなければいけない。

 先の通常国会で成立した改正銀行法では、銀行業務範囲の規制緩和が打ち出された。正直、今すぐ収益に寄与するかというと、そこまでのものではないと思うが、緩和の流れが出てきたこと自体は歓迎したい。地方創生や取引先支援という脈絡で人材派遣やシステム販売、広告などの分野は検討の余地があるのではないか。

 われわれの根っこには中小企業育成のDNAがある。中小零細、個人の顧客との厚い取引基盤がしっかりと受け継がれている。コロナ禍では、それが如実に表れた。「九州カード」や「西日本シティTT証券」などグループ会社も強みで、総合金融力をさらに発展させていきたい。

 入行以来、営業店勤務や人事、経営企画、リスク統括などいろいろな業務を経験してきた。自分自身、割と冷静、プラグマティック(実利的)な方だと思っている。虚心坦懐(たんかい)、話をよく聞き、自分なりに咀嚼(そしゃく)、理解して経営に落とし込んでいく。

 社員を含めて色々な方と腹蔵なくコミュニケーションをとっていきたい。これだけ変化が激しい世の中、組織も多様性に富んで活力あふれるものでなければいけない。現場やお客さまの声がどんどん入ってくるようにしたい。(小沢慶太)

 【プロフィル】村上英之(むらかみ・ひでゆき) 昭和36年、大分県生まれ。九州大学経済学部卒業後、58年に西日本相互銀行(現西日本シティ銀行)に入行。常務執行役員総合企画部長、取締役専務執行役員、西日本フィナンシャルホールディングス取締役執行役員などを歴任し、令和3年6月から現職。

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