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「気持ち悪い」と嫌われたガリガリ君が年間4億本超の国民的キャラに変われたワケ (3/4ページ)

 ■消費者調査で明らかになった気づき

 「ガリガリ君」というあのメインキャラクターのイラストイメージが恥ずかしい……。

 消費者調査でメインキャラクターのイラストに対して若い女性たちのツッコミが入った。

 ・「歯茎が気持ち悪い」

 ・「汗が泥臭い」

 ・「田舎臭い」

 ・「恥ずかしくてレジへ持っていけない」

 などなど。あのイラストからニオイまで感じ取れる女性のイマジネーション力に拍手を送りたい。おまけに「絶対に買わない!」という意見まで飛び出し辛辣(しんらつ)な酷評が相次いだのだ。

 思い出してほしい。あのイラストは赤城乳業の社員が当時のガキ大将(中学3年生)をイメージして書き上げたデザインだ。その社員が出世して重役になっていたら、こんなことは口が裂けても本人へ伝えられない。しかし、今回は消費者調査で明らかになった結果を報告するということであれば、話が違う。しっかりと消費者の意見を取り入れ改善へと道が開かれるきっかけになるに違いない。しかし、ここですごいのがアイス自体の“評価”は“氷菓”だけに高かった……(自分もダジャレは抜けないタイプ)。

 ■ガリガリ君は2000年に「永遠の小学生」へ

 そこで、2000年に赤城乳業は「ガリガリ君」のフルリニューアルを決行し、別次元のキャラクターに生まれ変わる。設定もそれまでは中学3年生のガキ大将だったが、永遠の小学生と設定が更新され、21世紀にふさわしいかわいらしいイラストイメージに仕上がった。このキャラクターに合わせて、テレビCMで音楽グループのポカスカジャンが歌う強烈な「ガリガリ君」の名前を連呼するCMソングを初めて流し続けた結果、年間販売本数1億本の大台を突破! CMソングが人気となりCD化(03年)まで果たした!

 ここからガリガリ君の大逆襲が始まる! 02年には今でも人気の「梨」を筆頭に、「温州みかん」「ピーチ」「さくらんぼ」「ウインターホワイト」と怒涛の新フレーバーラッシュを繰り出した。さらに、05年には「ガリガリ君」のキャラクターを生かしたマーケティングの強化に着手した。『コロコロイチバン!』(小学館)で連載を持ち、ビデオゲーム「新・ボクらの太陽 ~逆襲のサバタ~」(コナミ)で企画コラボや「携帯ストラップ」・「入浴剤」(バンダイ)といったグッズの企画制作から販売まで幅広く展開している。

 まさに、ガリガリ“君”ではなく、ガリガリ“様”と呼ぶべき売れっ子タレントのような位置付けになっている。まるで日本テレビの長寿番組「笑点」に登場する座布団運びの山田くんみたいだ。表では山田“くん”だが、裏では山田“様”……。ガリガリ君としてバラエティー番組に登場する日は遠くないのではないか。

 ■コンポタージュ味が大ヒット、3日間で販売休止

 そして、06年には「ガリガリ部」なるファンクラブを発足。立ち上げ数カ月で5万人の部員を集めると、部員の要望に応えて作った「マンゴー」が大ヒットとなる。さらには、ガリガリ君の販売本数が落ち込んでしまう秋冬には、対策としてガリガリ君の妹「ガリ子ちゃん」を作り、冬でもおいしく食べられる商品を投入。しかし、味よりもネット上では「ガリ子ちゃんが萌え系なのか」という論争が立ち上がるほど話題に。

 次に、大人向けにガリガリ君リッチシリーズ「ミルクミルク」を投入した結果、翌年の07年には年間販売本数2億本を突破! その後も、さまざまなコラボを展開するなどして話題を席巻。09年には「箱根小涌園ユネッサン」で「ガリガリ君温泉」までオープンすると、この年に販売本数2億4500万本を達成し、異例のスピードで日本一のアイスに登りつめた。10年にはワールドカップとコラボし、この年に稼働した新工場を公開し工場見学を開始すると、予約が取りづらい工場見学として話題となり、今まで以上に大規模なマーケティングを展開して、年間販売本数3億本を突破した!

 12年にはあの伝説の味「ガリガリ君リッチ コーンポタージュ」が発売され、あまりの売れ行きになんと販売開始後わずか3日間で販売休止となり、たった2年で販売本数3億本から4億本へと成長する。

 ■ナポリタン味はこだわりすぎて失敗

 しかし、開発ストーリーを担当者から聞くと涙ぐましい努力があった。きっかけは、バラエティー番組で真夏にあったかいコーンポタージュを飲む企画を目にして、「コレだ!」と思いついたそうだ。「暑い日に温かいコーンポタージュを飲んでもおいしいから、アイスにしてもおいしいのでは?」と思い、社内の人間には内緒で夜な夜な試作品を作っていた。周りの社員には気づかれないように「コーンポタージュ」とは別にプレゼン用のダミーアイスを作っていて、社内ではダミーの試作品をプレゼンする方向で周知していたが、プレゼン当日に「コーンポタージュ」の試作品も出したら意外と社内の評価は好評だったので商品化されたそうだ。

 この勢いに身を預けるように、13年には「ガリガリ君リッチ クレアおばさんのクリームシチュー味」もヒットさせた。しかし、14年に発売した「ガリガリ君リッチ ナポリタン味」では雲行きが怪しくなり、あまりの個性的な味に「ふざけるな」「いい加減にしろ」という問い合わせが殺到した。青臭い香りからトマトゼリーまで甘いアイスを食べる頭で食べてしまうと、裏切られた感があったかもしれない。こちらも開発秘話を聞くと、13年には空前のナポリタンブームが発生しており、本物よりもリアルなアイスを目指してしまったとのこと。この作品で3億円の赤字を出してしまい、世間では赤城乳業ならぬ赤字乳業と冗談で呼ばれてしまうこととなった。

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