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「土砂、豪雨、津波対策は事前の避難計画がカギ」高知からの提言

 静岡県熱海市で起きたような土砂災害や、毎年のように起こる河川洪水、津波など水害の対策は、事前の避難計画づくりが不可欠とされる。「町民あげての総力戦」に取り組む高知県黒潮町の防災対策を紹介する。

 災害リスク共有がカギ

 黒潮町は、政府が平成24年に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定によると、最大震度7、津波は最大34・4メートルに達し、7割の地区が浸水する。山間部などは土砂災害の危険がある地区もある。さらに、将来避難が困難となる高齢者が人口の4割超を占める。

 このため、町職員200人全員が各地区ごとの防災担当となり、住民の避難対策を支援。住民は各家庭で、避難経路・場所・方法、避難時に支援が必要な高齢者の有無などを記した各戸別の「避難カルテ」をつくり、地区ぐるみで避難の課題を洗い出しながら、訓練を実施している。

 学校が世代間連携育む

 黒潮町では、こうした住民同士が協力する取り組みと並び、小中学校を舞台に、子供たちが防災教育で自然災害との向き合い方を学習するとともに、世代間の防災意識をつなぐ取り組みを進めている。

 小学校では、防災参観日で保護者が防災の講演や授業、緊急地震速報による訓練に参加。夏休みは、親子で避難方法を話し合う親子防災会議を行う。

 中学校では、保育所、小学校、高校と合同で避難訓練を行ったり、高齢者を訪問し、避難方法を話し合ったりする。浸水想定地域にある中学校では、全生徒50人が独居高齢者ら避難時の要配慮者149人の自宅を訪問し、昭和21年南海地震の経験を聞いたり、安全な避難方法を一緒に考えたりもする。

 訓練参加率も向上

 例えば、高齢者が「足が悪いから」と避難訓練に参加しない理由を生徒に話すと、生徒は「玄関まで出てくれれば避難を介助できる」と協力を申し出る。

 「一生懸命避難の大切さを訴える孫世代との丁寧な対話があるからこそ、高齢者も真摯(しんし)に耳を傾け、訓練に参加するようになる」と畦地(あぜち)和也教育長は話す。実際、中学生の取り組みで避難訓練の参加率が33%から93%まで向上したという。

 南海トラフ巨大地震対策を進めてきた松本敏郎町長は「災害発生後に警報や避難指示など災害情報を行政が住民に一方的に流すだけでは住民は避難できない。災害発生前に行政が住民に災害の危険性を説明し、個々の住民が自分にとっての安全な避難方法を得ておくことなくして、被害は抑えられない」と話している。(北村理)

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