モビリティー新時代

内燃機関に厳しい未来が待っている?、総ざらいで見直し必要

 欧州連合(EU)欧州委員会が7月14日に公表した温室効果ガスの大幅削減に向けた包括案に驚いた人は多かっただろう。注目を浴びたのは、ガソリン車、ディーゼル車のみならず、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)も含めた内燃機関車の新規販売を2035年に禁止するという方針だ。

 あまりにも乗用車への影響が大きいため、そこに注目しがちだが、この包括案の基本的な考えは、モビリティーに対して温室効果ガスを出さない「ゼロエミッション」を要求するもので、乗用車に限らず、内燃機関で動くもの、つまりトラック、バス、トレーラーなどの商用車も対象と考えることができる。さらに懸念されるのは、包括案では明らかになっていないが、ディーゼルエンジンで動く農業機械や建設機械、船舶などへの処置だ。

 包括案に先立ち、欧州委員会は4月、ゼロエミッション車以外の車を26年以降、サステナブル(持続可能)投資の対象から除外する「EUタクソノミー委任規則」(草案)も公表している。

 日本の産業はこれまで内燃機関を活用して多くの商品を作り、海外に輸出してきた。これらの商品が今後はEUで販売禁止となる可能性が高い。包括案に対しては「単に欧州委員会がそう言っているだけで実現はまだまだ先」「現実離れしている」との声も聞かれるが、果たしてそうだろうか。

 欧州委員会は2万5000人以上の職員を有する巨大な政策立案機関だ。おそらく、今回のような重要政策は事前に欧州連合理事会や欧州議会と水面下で調整するはずだ。将来一部修正が入るにせよ、法案通過にある程度めどがついたことから、包括案の公表に踏み切ったとみるのが妥当だろう。

 欧州委員会と産業界は必ずしも一枚岩ではないが、こと温室効果ガスの大幅削減に向けたアクションは歩調が合っているようにみえる。包括案を反映してか、独自動車大手ダイムラーは7月23日、高級車部門「メルセデス・ベンツ」の全ての新車を30年までに電気自動車(EV)にすると公表した。

 EUの動きは、遅かれ早かれ米国や中国にも波及する。日本ではそのような規制はないと様子見していると、欧州勢は素早く体制を敷き、日本が押さえているマーケットを取りに来る可能性がある。

 EUの場合、環境規制と産業振興を組み合わせて、他地域に対して優位に立とうという戦略で出てくる。日本も早急に内燃機関を利用するものを総ざらいして、見直しをしていかないと、厳しい未来が待っているように思われる。(日本電動化研究所代表取締役 和田憲一郎)

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