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「若い人も食べて…」半世紀続くロングセラー菓子の憂鬱 若者ウケ狙った妙策 (2/2ページ)

 シンプルなビスケットの複雑な製造過程

 「スターバックスなどのカフェのコーヒーではなく、あくまで銭湯で飲むコーヒー牛乳の味にこだわりました。ミルクを感じられる少し甘めな味わいです。期間限定品では過去最高の売り上げでした。SNSでも『おいしい』という評価でした」

 時代に合わせて変えるものがあれば、頑なに変えないものもある。それはフラッグシップであるココナッツサブレの味と値段だ。2016年にビスケット5枚ずつを4パックに分ける「小分け化」をするリニューアルを行ったものの、パッケージデザインも発売当初のパッケージをほぼ踏襲。原材料や製法もほとんど変えていないという。石田さんは「シンプルに見えますが、非常に複雑な工程を経て製造されています。ココナツ香料を使わず、本物のココナツをこだわって使っています。香料でも試作してみましたが、やはり自然由来の風味は全然違います」と強調する。

 見た目はシンプルなビスケットだが、製造過程は複雑だ。まずココナツの固形繊維を小麦粉に混ぜ、生地は6層に折り重ねて焼き上げる。こうすることでサクサクとした食感と、コクがあるのに飽きのこない素朴な味わいが実現するのだそうだ。ビスケット表面のテカリは「シュガーコート」と呼ばれている。これは、砂糖をかけ、バーナーで焼いたものだという。

 さらに昨年、人知れずある改良が施されていた。発売55周年を記念し、ココナツオイルを練り込み、コク深さを増したのだという。「はぴば!」などと記す前に、もっと改良点を強調してもよさそうだが、何とも奥ゆかしい。あるいは、人知れぬ企業努力と言うべきか。

 ベースの味、製法は変えず伝統を堅持しながらも、時代の変化に即して新しいものも積極的に取り入れる。それが、いつまでも朽ちることなく残り続ける秘訣(ひけつ)であり、ロングセラーたるゆえんなのかもしれない。

SankeiBiz編集部
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