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低脂肪・低カロリーは逆効果? 正しい糖質制限に導く新基準「ロカボプラス」 (1/2ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 パンや菓子類などのパッケージで、最近よく目にする「ロカボ」と書かれたマーク。糖質を摂り過ぎないよう糖質量を適正に抑えた食品であることを示したもので、ダイエットや健康管理で糖質制限を行う人にとって食品を選ぶ際の目印にもなっている。しかし、このロカボマークを管理する「食・楽・健康協会」が「ロカボプラス」という新基準を打ち出した。代表を務める北里研究所病院の山田悟・糖尿病センター長は「ロカボプラスには、ロカボに対する誤った認識を是正する狙いがある」と指摘する。

「ロカボ」は浸透したが…

 英語で炭水化物を意味する「カーボハイドレート」に、「Low」(低い)を組み合わせた「ロカボ」。糖質を抜くような極端な糖質制限を含む「ローカーボ」に対し、1食あたりの糖質量を20~40gグラム(間食10グラム)とする「緩やかな糖質制限」を推奨する概念として、山田センター長を中心とする食・楽・健康協会が提唱している。

 一般的な日本人の食生活では1日あたりの平均糖質摂取量が300グラム程度。ロカボの基準ではその半分以下の70~130グラムが1日の適正糖質量となる。

 日常手に取る食品で糖質量を管理しやすくするために設けられた基準が「ロカボマーク」だ。同協会に所属する協賛企業120社がロカボ基準に適合した商品で掲出することができ、これまでにおよそ1000近い商品が認定されている。

 こうした取り組みを通じてロカボの概念が浸透してきた一方、極端な糖質制限がロカボと認識されていたり、「低脂質」や「低カロリー」も含めてロカボを謳っている商品が多かったりと、山田センター長は「ロカボの定義が正しく理解されているとは言い難い」と顔を曇らせる。とくに低脂肪、低カロリーについては「ロカボにおいて大変な間違いであり、健康上逆効果を及ぼすリスクを孕(はら)んでいます」と強調する。

 脂質制限に潜むリスク

 ロカボでは一切のカロリー制限が不要で、脂質に関しては食後血糖値の上昇を抑えるという理由から、むしろ摂取を推奨している。山田センター長によると、糖質は満腹中枢を刺激しづらく、必要以上の食欲を誘引するリスクがあるが、対してタンパク質と脂質は満腹中枢を刺激する物質を分泌するため、必要なエネルギー摂取量に達すると満腹感が得られる。

 そのため、ロカボではタンパク質と脂質をしっかり摂り入れた食事を推奨しているが、カロリーが食品選びの基準となっている現状では脂肪を避けようとする傾向が強く、その結果として必要以上の糖質を摂ってしまう“逆転現象”が起きてしまっているという。

 さらに、動脈硬化の元凶といわれる中性脂肪の合成にも、「低脂肪・低カロリー信仰」が悪影響を及ぼしているという。中性脂肪と脂質の関係をめぐっては、米国心臓学会が2011年に発表した「科学的声明」(Scientific statement)で「油の摂取量を5%控えると血中の中性脂肪が約6%増加する」というエビデンスを明示。さらに最近の研究で、脂質よりも糖質摂取を控えることで肝臓の脂肪合成が減り、脂肪肝が改善され、血中の中性脂肪が下がりやすいというメカニズムが明らかになってきた。

 血中の中性脂肪を合成する肝臓を休ませる上で糖質制限が重要ということは世界的なコンセンサスとなっており、「中性脂肪の値が高い人に対して油の摂取を制限する指導は、もはやあってはならないこと」(山田センター長)というのだ。この知見は日本動脈硬化学会の治療ガイドラインにも取り入れられているが、山田センター長は「残念ながら脂質に対する誤った知識が医療者の間でもいまだ根強く、一般の方々には届かない状況にある」と厳しい表情を浮かべる。

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