金融

米FRB、コロナ禍でも景気に強気 物価上昇への懸念も 11月にも量的緩和縮小へ

 【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)は11月にも量的金融緩和策を縮小する方針を表明し、新型コロナウイルス禍が経済の足を引っ張る中でも金融政策の正常化に本腰を入れる構えをとった。背景には感染力が強い新型コロナのデルタ株が猛威を振るう中でも景気回復が続くとの強気の読みがあるほか、物価上昇がもたらす悪影響の長期化への懸念もあるようだ。ただ、来年に見込まれる利上げは金融市場に混乱をもたらすリスクもあり、可否についてはさらに情勢を見極める姿勢も示唆している。

 「デルタ株が著しい困難と損失、景気回復の鈍化を招いている」

 FRBのパウエル議長は22日、連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で、そう認めた。

 景気動向を敏感に反映する就業者数の増加幅は、6、7月の100万人前後から8月に23万人に失速。パウエル氏もデルタ株流行で雇用改善に「さらに時間を要する」と分析している。また、FOMC参加者による2021年10~12月期の実質国内総生産(GDP)予測は5・9%増へと下方修正されている。

 それでもFRBが量的金融緩和縮小に布石を打つのは、経済全体の回復基調は維持できると見込んでいるからだ。8月の新規就業者数は失速したとはいえ、景気拡大の節目となる20万人を上回る水準で、パウエル氏は緩和縮小の前提条件として「非常に強い雇用統計は必要としない」と主張。金融引き締めに転じても景気は腰折れしないと踏んでいるとみられる。

 また物価上昇の悪影響が長引くことへの懸念もある。半導体などの調達難や労働者不足に伴う賃金コスト上昇がもたらすインフレ圧力の影響に関し、パウエル氏は「想定より大きく長期化している」と指摘した。11月の量的金融緩和縮小方針は、景気過熱とインフレ加速に対し、金融引き締めの先手を打ちたい「タカ派」の参加者の意向を反映した形となった。

 一方、パウエル氏は景気動向に応じ、資産購入額の減額ペースを「加速させたり減速させたりできる」と述べ、柔軟に緩和縮小を進める方針も示している。また、量的金融緩和の縮小に加え、ゼロ金利を解除して利上げに乗り出すための経済条件については「(量的金融緩和縮小と)異なる一段と厳格な基準」のもとで判断するとも述べ、急ピッチな米利上げが金融市場の混乱を招くことを警戒する投資家や新興国に配慮する姿勢もみせた。

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