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韓国の挺身隊訴訟 日本企業資産へ初の売却命令、三菱重工は即時抗告等で対応か

 【ソウル=時吉達也】2018年、韓国最高裁が三菱重工業に賠償を命じた元女子勤労挺身隊員らによる訴訟で、韓国中部・大田(テジョン)地裁は27日、同社の商標権などの韓国内資産について売却命令を出した。韓国紙の京郷新聞が同日報じた。

 一連の戦後補償訴訟をめぐり、韓国の裁判所が日本企業資産の売却命令を出すのは初めて。対象の資産はすでに差し押さえられており、現金化によって日本企業に実害が生じる事態が間近に迫った。

 同紙によると、売却命令の対象は同社の商標権と特許権各2件。売却で、賠償金などに充てる4億ウォン(約3700万円)以上の現金を確保するとしている。原告の代理人弁護士は「要請すれば、すぐ売却手続きを踏むことができる状態になった」と話した。

 三菱重工は即時抗告などの異議申し立て手続きに入る見通しで、実際の売却までにはさらに時間がかかるとみられる。同社は韓国報道を受け、「極めて遺憾だ。即時抗告するほか、日本政府とも連絡を取りつつ適切に対応する」とコメントした。日本政府は、企業側に実害が生じれば報復措置も辞さない構え。

 同社の資産を差し押さえていたのは、名古屋などの工場に動員され、労働を強制されたと訴え、18年11月に韓国最高裁で勝訴が確定した韓国人女性2人。裁判所側は19年3月に資産差し押さえを決定し、今年7月までに差し押さえを不服とする同社側の抗告を棄却するなどしていた。

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