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自社判断で検査手法変更 三菱電機、染みついた“おごり”体質

 三菱電機の検査不正問題をめぐり外部有識者による調査委員会が1日にまとめた報告書からは、手続きを軽視し、自社の判断で安易に検査手法を変更していた実態が明らかになった。自社の技術に対する“おごり”ともとれるこうした体質の改善は急務だが、創業100年の企業風土を変えるのは容易ではない。実際、不正問題発覚後の同社の対応でもこうした体質の片鱗(へんりん)がうかがえる。組織を真摯に見つめ直し、大胆にメスを入れる経営陣の覚悟が問われそうだ。

 「会長としての監督責任を痛感しており、これを契機に会社を根底から変革する取り組みを行う。私は辞任し、けじめをつけさせていただく」。同日会長を辞任した柵山正樹氏はそう述べ、不正を見逃していたことを陳謝した。

 不正が行われていた鉄道車両向けの機器などは、製造から出荷までの工程の中でさまざまな検査が行われる。検査内容は顧客である鉄道事業者との契約で決められるが、一部の検査を独自の方法で行ったり、別の検査で使われたデータを流用したりするなど、契約と異なる手法で行っていた。

 報告書では「『品質に問題がなければよい』という安易かつ誤った正当化が行われていた」と指摘した。

 ただ、こうした考え方は現場の技術者にとどまらず、経営の中枢にまで染みついているように映る。問題発覚後の対応を見ても、同社の経営陣は再検査も行わないうちに機器の安全性を繰り返し強調した。正規の方法でなくとも同社のやり方で「安全性は十分確認できる」という言い分だが、報告書で指摘された「誤った正当化」とまったく同じ考え方だ。今も不正検査が行われた機器の大半は、再検査が行われないまま使われ続けている。

 後任社長に漆間啓氏を選んだ際も、「品質管理の問題は現場に精通していないといけない」との理由で、社外から迎え入れる選択肢は真っ先に消え、内部から登用された。

 「品質奉仕の三菱電機」-。同社が長らく掲げていた社是だが、高い品質は顧客の信頼につながり、同社の自信や誇りとなった。しかし、信頼が失われた今、自信はおごりでしかなくなっている。

 同社は今後、社外取締役の割合を過半にするなど、外部の目を入れる方針も示したが、同日辞任した柵山氏を除くと取締役10人のうち5人はすでに社外取だ。社外取が監督機能を果たせなかったのは、人数よりも質の問題だとの指摘もある。メンバーをみると元官僚や元検察官、三菱UFJ銀行の元頭取など“天下り”の受け皿のようだ。

 形式的な取り組みだけでは体質は変わらない。不祥事の連鎖を止めるには、痛みを伴ってでも、改革を断行することが求められる。(蕎麦谷里志)

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