デジタルフォレンジック識者インタビュー

東京電機大名誉教授・佐々木良一氏「隠された情報引っ張り出す技術は進化」

 DFに詳しい東京電機大の佐々木良一名誉教授に話を聞いた。

 --調査の需要が増えている背景には何があるのか

 「一つはデジタル化が進み、電磁的記録が残るようになったことがある。もう一つは裁判になった場合に証拠が必要となっている。あとは株主を含めたステークホルダー(利害関係者)に対して、企業側で適切な説明が不可欠になっている」

 --依頼で多いのは

 「内部不正を調べてほしいというのが一つ。データを復元して、証拠を取り出す作業が行われている。もう一つはメールや文書を調べる作業がある。東芝の株主総会の問題で、フロンテオがAI(人工知能)を活用したが、隠されている情報を引っ張り出す技術は進化している」

 --第三者委員会の調査は、会社所有のパソコンなどを解析するが、個人端末で不正を働くケースが多いと思われる

 「基本的に会社所有の端末を解析するが、本人が提出しなければ、メールサーバーを調べることも可能だ。調査権があれば、相手先のパソコンも解析できる。実際に調査すると、何かしらの証拠が残っていることが多い。データを消去していれば、その時点でグレーということになる」

 --やはり日本は米国よりも遅れているのか

 「米国は1984年にFBI(米連邦捜査局)に専門チームが発足し、民事訴訟で使われている。日本はオウム事件以降に警察庁が動き出し、2003年に民間専門会社が設立された。学会活動を含めて、10年は遅れている。これまで人材不足が課題だったが、技術者が増えて力を付けてきた。私が会長を務めていた研究会の会員数も設立当初から3倍に増えたが、研究者の数は少ない。技術面では、最近はネットワークやメモリーに侵入するウイルスが増えており、その解析力が少し遅れている」

      ◇

 ささき・りょういち 昭和46年東大卒。同年に日立製作所に入社。システム開発研究所を経て、平成13年東京電機大教授。23~30年までデジタル・フォレンジック研究会会長、27~29年まで内閣官房サイバーセキュリティ補佐官。74歳。香川県出身。

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