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イカの漁獲量が20分の1に…函館が直面する危機に「ブリ」は救世主となるか (1/2ページ)

SankeiBiz編集部
SankeiBiz編集部

 地球温暖化などの影響で不漁続きとなっている北海道・函館のイカ漁。スルメイカの水揚げ量は年々減少の一途をたどっており、10年で約20分の1にまで激減した。地元の人の話によると、今夏はついに「イカ刺し」を取り扱う店はほぼなくなったという。一方、その水産海域に姿を現しているのが温暖な海水を好むブリだ。今や漁獲量はイカを上回り、全国でトップレベルに。函館ではイカに代わる新たな食資源として、ブリの食文化を振興するイベントなどを開催している。流通や加工業も難しい舵(かじ)取りを迫られている。

 イカを上回ったブリの漁獲量

 イカ刺し、塩辛、イカソーメン-。函館名物「イカ踊り」の一節だ。毎年の夏の恒例行事「函館港まつり」では、市民総出で市内のメインストリートを練り歩く。そんな“ソウルフード”として市民に愛されるイカが今、函館から姿を消しつつあるというのだ。

 「今年の夏はイカ刺しを出せる店がなかった」。こう嘆くのは、北海道渡島(おしま)総合振興局産業振興部水産課の漁政係長、榊原滋さん。漁獲量の減少に加え、旬を迎えた夏でも例年のようにスルメイカが獲れず、価格が高騰。地元・函館産のイカは稀少なものとなった。

 渡島総合振興局によると、かつて年間5万トンに迫っていた管内のスルメイカの漁獲量は10年余りで激減。令和に入ってからはさらに大きく落ち込み、2020年は2218トン(速報値)と、もはや回復の兆しが見えないのが現状。かつて夜の函館山の展望台から水平線を縁取るように見えた漁火(いさりび)も、今では片手で数えるほど。「もう『イカの町』とはいえない」。地元の人も厳しい現実を見つめている。

 漁獲量激減の要因の一つが温暖化による海水温度の上昇だ。榊原さんによると、イカは冷水性の生物で、卵を産む東シナ海の水温上昇が稚魚の成長に大きく影響している可能性があるという。水産海域の変動ではなく、イカそのものが獲れなくなりつつあるというのだ。さらに、イカの回遊経路上で他国の漁船による乱獲の影響も指摘されている。

 対照的に、漁獲量が急増しているのがブリだ。2008年に325トンだった漁獲量は上下動を繰り返しながら右肩上がりで推移。最近はついにイカを上回った。昨年は1万トンの“大台”に乗る見通しとなり、漁獲量トップを誇る鳥取県の境港などと並ぶ一大産地となりつつある。

 しかし、道民のブリ消費量は全国平均の2分の1程度。地元では食文化としてなじみが薄く、小売りでの流通も少ないため、市場では低価格で取引されているのが現状。市内で水揚げされたものの多くは冷凍して海外輸出、あるいは他県の工場に売られて加工食品となっているという。

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