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旅行各社、展示会や旅行「CO2ゼロ」提案強化 新たなニーズ開拓

 旅行代理店各社が、旅行やイベントで排出するCO2(二酸化炭素)の削減を目指した商品開発に相次いで乗り出している。地球温暖化は今年のノーベル物理学賞に決まった真鍋淑郎氏の研究テーマでもある人類の共通課題。大規模展示会の運営で再生可能エネルギーを利用するほか、他者が削減したCO2を「排出権」として購入し、旅行で実際に排出されたCO2量と相殺(カーボンオフセット)できることをうたった商品が柱となる。(田村慶子)

 これらの商品は、国連の持続可能な開発目標(SDGs)を経営課題にする企業や、環境負荷の少ない商品を選ぶ個人のニーズを取り込む狙いがある。

 阪急交通社は、大規模展示会の開催などを計画する企業向けに、CO2削減に配慮したサービスを9月21日に始めた。再生可能エネルギーを活用する展示施設や宿泊施設の利用を提案する。実際に排出されたCO2の量を計算し、国が認証した排出権を購入して相殺するメニューも提案する。

 環境対策への関心が高いとされる欧米企業の日本法人がターゲット。阪急交通社は「SDGsを教育に取り入れる学校も増えており、修学旅行や校外学習にも提案したい」と企業以外の需要にも期待する。電力取引の仲介事業者と代理店契約を結び、ホテルなどの再生可能エネルギー調達も支援する。

 JTB子会社のJTBコミュニケーションデザイン(東京都港区)も6月、同様のプランを企業向けに販売。購入すれば、証書に書かれた電力量分の再エネを使い、CO2排出を削減したとみなせる「グリーン電力証書」をイベントの主催企業に購入してもらう。

 大規模展示会や国際会議などのイベントはMICE(マイス)と呼ばれ、運営や関連する旅行を請け負う旅行代理店にとっては貴重な収入源だった。コロナで開催が激減するなか「環境配慮型商品」を打ち出し、需要を喚起する狙いがある。

 一方、日本旅行は個人を対象とした国内旅行商品で「カーボンオフセット」のプランを2月から販売している。JRを使って実際に移動した距離からCO2排出量を計算。それに見合う排出権分の金額を旅行者が支払う代金に上乗せする。排出権は滋賀県造林公社が発行する。10月からは長野県の造林公社とも連携し、東日本地区での旅行商品にも拡充。「SDGsに取り組む企業向けに出張旅行の利用も広げたい」としている。

 先行き不透明、新たなニーズ開拓

 旅行各社がCO2(二酸化炭素)排出量を相殺する旅行プランを相次ぎ打ち出すのには、長引く新型コロナウイルス禍で収益環境が厳しさを増す中、新たな収益源の確保につなげたいという思惑がある。旅行需要が回復した後も、環境問題への取り組みを差別化の武器としたい考えだ。

 観光庁によると、今年7月の主要旅行業者による総取扱額は、コロナ前の一昨年7月と比べ7割以上、減少した。

 業界は苦境に立たされており、近畿日本ツーリストなどを傘下に持つKNT-CTホールディングスは債務超過に陥り大規模増資に踏み切った。また、今年9月には、JTBが東京都品川区の本社ビルと大阪市中央区のビル計2棟を売却したことが判明。エイチ・アイ・エス(HIS)も東京都港区のビルに入った本社フロアを325億円で売却した。両社とも赤字決算に陥っており、売却益を財務基盤の強化にあてるとみられる。

 緊急事態宣言の解除で国内旅行の需要は回復に向かう可能性があるが、今後も先行きは不透明だ。各社は環境への配慮という新たなニーズをとらえ、自社のアピールポイントとしたい考えだ。

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