金融

首相、金融所得課税の引き上げ先送り「余計な不安を与える」

 岸田文雄首相は10日のフジテレビ番組「日曜報道 ザ・プライム」に出演し、自民党総裁選で掲げた金融所得課税の引き上げについて当面は見送る考えを示した。「当面は金融所得課税について触ることは考えていない」と述べた。理由について「総裁選のときに挙げた一つの選択肢ばかりが注目されて、すぐやるのではないかという誤解が広がっている。これはしっかり解消しないと関係者に余計な不安を与えてしまう」と説明した。

 首相はこの後、自民党本部で記者団に「まずは賃上げ税制、下請け対策。看護、介護、保育の公的価格を見直しから始めるべきだ」と強調。看護師などの所得増や賃上げを実施した企業に対する優遇税制について「それぞれ大変重たい課題なので、これをしっかり進めていくことを優先させたい」と説明した。

 首相は4日の就任記者会見で「成長と分配の好循環」を実現するには「金融所得課税はさまざまな選択肢の一つ」とした。ただ、足元では海外市場に比べて株価の下落が目立っており、市場関係者らが抱く経済の先行き不安を払拭する狙いがありそうだ。

 首相は4日の就任会見での金融所得課税に関する発言について「さまざまな選択肢を並べたうちの一つ。その優先順位ということを申し上げた」と語った。

 一方、財務省の矢野康治事務次官が月刊誌「文芸春秋」11月号で、衆院選などに絡む政策論争を「ばらまき合戦のようだ」と批判したことに関し、「いろんな議論はあっていいが、いったん方向が決まったら関係者はしっかりと協力してもらわなければならない」と述べ、クギを刺した。

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