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LINE問題で最終報告 経済安保上「極めて不適切」

 無料通信アプリ「LINE(ライン)」で、利用者の個人情報が中国の関連会社から閲覧可能になっていた問題で、親会社のZホールディングス(HD)の第三者委員会は18日、「極めて不適切だった」とする最終報告を公表し、再発防止策などを提言した。ZHDやLINEに対し、データ管理の在り方などを継続して見直すよう求めた。ZHDなどはLINEの利用者に今回の問題の原因や対策について分かりやすく説明する責任が問われている。

 最終報告は実際の情報漏洩(ろうえい)はなかったとしたが、中国当局が強制的に情報を収集する懸念に対し「経済安全保障への適切な配慮ができていなかった」と指摘。画像や動画ファイルを韓国のデータセンターに保管しながらも、中央省庁などに「日本の利用者のデータは国内で保管してある」と虚偽の説明をしていたことも「不適切なものであった」と認定した。

 改善策として、ZHDグループだけでなく、ZHDの親会社のソフトバンクも含めた監督体制の構築を提言。ZHDが利用者らの意見を聞き取る有識者会議を設置し、国内外の法令の順守状況を一元的に管理するよう要請した。また、国内利用者の個人情報に対してアクセスを認める国や地域に関するルールを作成することも求めた。

 ただ、今回の調査では従業員に実施したアンケートの回答率が約30%台にとどまった。委員は「残念だ。多くの社員から意見をいただきたかった。委員会の活動への認知が十分でなかった」と述べた。

 LINEは最終報告の提言に対するコメントを出し、関係者に謝罪した上で、安心して利用してもらえるデータ管理体制の構築や、正確な説明の徹底を約束した。

 LINEの個人情報閲覧問題は3月に発覚。データの国内移転について、一部のスケジュールしか公表しなかったなど、情報開示の姿勢も問題視された。

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