金融

新資本主義会議、分配よりもまず成長 稼ぐ力高め好循環目指す

 26日初会合を開いた「新しい資本主義実現会議」では、岸田文雄首相が重視する「分配」の原資を稼ぎ出すため、経済のパイを広げる「成長」の実現にまず取り組むことになる。成長と分配の好循環は安倍晋三政権時代から指摘され、新型コロナウイルス禍で重要性が増した古くて新しい課題だ。首相肝いりの会議は難題を克服する斬新な処方箋を示すことができるのか。

 「成長戦略で生産性を向上させ、その果実を賃金で分配して所得水準を伸ばし、次の成長を実現する」

 首相は会議終了前のあいさつで成長の実現に優先して取り組む考えを示し、好循環の実現に向け「認識を共有できた」と総括した。

 格差是正に焦点が当たりがちな新しい資本主義。だが、経済のパイ拡大が伴わず分配だけを強化しても、持続可能な政策にはならない。まずはデジタル技術による地方活性化や規制・制度改革といった成長戦略で企業の稼ぐ力を高め、増えた収益を賃上げや職業訓練を含む人的投資の強化などで次なる成長につなげる。それが描く好循環の姿だ。

 一方、成長と分配の好循環は新しい取り組みではない。平成28年6月に経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で掲げて以来の政策課題だ。安倍政権の経済政策「アベノミクス」は株価を押し上げ雇用を拡大したが、非正規労働者が増えて格差が拡大した。大企業や富裕層が潤っても富は貯蓄され中小企業や低所得者に滴り落ちず、将来に向けた投資も活性化しなかった。

 長年0%台に低迷してきた潜在成長率は、企業が守りの姿勢を強め投資を抑制した元凶だ。内閣官房幹部は「医師団は交代しても日本経済という患者の病状は変わらない」と指摘する。

 会議では首相が自民党総裁選で訴えた「令和版所得倍増」や、規制緩和を重視した「新自由主義」からの脱却といったキーワードは影を潜め、従来路線の経済政策に回帰したようにもみえる。歴代政権が積み残した課題に正面から向き合って、結果を出せるのか。11月上旬にも示す追加経済対策に向けた緊急提言案は、その試金石になりそうだ。

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