脱炭素最前線

「創業者の水素への思いがDNAに」岩谷産業・津吉学取締役常務執行役員

 燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出しない水素が次世代エネルギーとして脚光を浴びている。水素社会のカギを握る液化水素事業を進める岩谷産業の津吉学取締役常務執行役員兼水素本部長に、水素の可能性について話を聞いた。

 --国内シェア100%の液化水素は、他社は本格的な普及を見極めている状況だ。普及した場合、優位性を保てるか

 「当社の水素事業は80年以上の歴史があり、安全に安く作るノウハウを持っている。発電で利用されるようになると、マーケットが一気に広がる。その段階でエネルギー会社などが参入すると想定している。ただ、水素ビジネスはオールジャパンで取り組む事業で、1社ではできない。協力するところは協力していく」

 --これから水素はどのように広がるとみているか

 「令和12年に発電利用がメインとなり、次にトラックやバス、電車などに広がるとみている。自動車は電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にそれぞれ特性がある。中長距離を走るトラックやバスなどはFCVになるのではないか」

 --価格の低減が普及の課題だが

 「ボリュームを増やすしかない。コストを下げるのは企業努力になる。ただ、普及期には消費者を補助する仕組みも必要だ」

 --日本の水素技術を客観的にどうみているか

 「日本は燃料電池や発電など世界有数の技術を持っている。ただ、水素利用は国によってストーリーが異なる。米国や欧州は陸続きでパイプラインを使えるが、日本は島国で、船で運ぶしかない。それぞれが地政学的な条件に合わせて取り組むしかないので、日本が海外より遅れているとは思わない」

 --水素社会の実現に向けて、岩谷産業の役割とは

 「創業者の思いが継承され、当社の文化の中に水素社会を作るというDNAが刷り込まれている。最終的に水素利用を促進し、環境問題の解決につなげたい。20年、30年後に水素があってよかったといわれる時代が来てほしい」

 つよし・まなぶ 平成元年大阪大院工学研究科修了、同年岩谷産業入社。25年シンガポール支社長、27年水素ガス部長、29年執行役員、30年常務執行役員、31年水素本部長、令和2年取締役常務執行役員。57歳。兵庫県出身。

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