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ラーメン女子も太鼓判、佐野の老舗酒造がラーメンに合う日本酒開発 

 佐野らーめんで知られる栃木県佐野市の老舗造り酒屋が「ラーメンに合う日本酒」を開発し、話題を呼んでいる。ラーメン女子の森本聡子さんが参画し、若者や女性にも受け入れられるフルーティーな味に仕上げたほか、カップ酒タイプで手軽に飲めるのも売りだ。森本さんも「いける」と太鼓判を押す自信作で、同社は酒造メーカーなどが新型コロナウイルス禍で苦境に立つ中、攻めの海外販売も視野に入れる。

 ラーメン女子は日本酒好き

 ラーメンに合う日本酒「NOODLE SAKE-春華秋冬-カップ」(180ミリリットル、396円)を開発したのは同市田島町の老舗造り酒屋「第一酒造」。

 佐野市内には約150のラーメン店があり、休日には各店舗前に県外ナンバーの車が並ぶなど知名度が高い。ラーメンは人気の高い国民食でもあり、同社は以前からラーメンに合う日本酒の開発を念頭に入れてきたが、「ラーメンにはビール」のイメージが強くなかなか実現しなかった。

 開発のきっかけは今春に開かれた同社の打ち合わせ。営業担当の和田麻弓さん(37)が「日本酒と麺類といえば、そばやうどんになるが、ラーメンの街・佐野で、どうにかラーメンに合う日本酒を開発したい」と提案した。

 実現性を探るべく、同社が年間600杯以上のラーメンを食べ歩き、カリスマラーメン女子として活躍する森本聡子さんに共同開発を打診したところ、森本さんからは「ラーメン女子は実は日本酒が大好き」との答えをもらい、社内の機運が一気に高まった。

 それに加えて、和田さんと森本さんは愛知県内の同じ高校の出身。森本さんは約5年前のラーメンの調査で、和田さんの夫、裕一さん(37)の経営する佐野市内のラーメン店を訪れるなど面識があったことも幸いし、共同開発の話はとんとん拍子に進んだ。

 脂っ濃さをすっきり

 開発では、日本酒になじみの薄い若者や女性にも親しまれるよう、フルーティーですっきりした味わいの吟醸酒をベースに約3カ月間、ブレンドを重ねては森本さんの都内の事務所などに送り続けた。同社の熱意に応えるように、森本さんも同社を2度訪れ、ラーメンを食べながら試飲を繰り返した。

 そして試行錯誤の末、念願の純米吟醸酒が完成。森本さんから「これならラーメンに合う。いける」とのお墨付きを得た。

 和田さんも「ラーメンと日本酒? という先入観があったが、実際に飲むと、ラーメンの脂っ濃さをすっきりと流してくれる感じでとてもおいしい」と話す。

 完成した純米吟醸酒は今年7月11日のラーメンの日に500本(720ミリリットル)を販売したところ完売。市内のラーメン店からの「カップ酒の方がいい」とのアドバイスも採用し、10月1日の日本酒の日に合わせ、第2弾でカップ酒として販売した。カップには森本さんの考案で、美人がラーメン風呂につかりながら日本酒を飲んでいるデザインが施された。

 第一酒造社長の島田嘉(よし)紀(のり)さん(56)は「創業348年で初めてラーメンに合う日本酒を手掛けたが、予想以上に反応はいい。ラーメンも日本酒も海外で人気なので販路開拓を急ぎたい」と意欲を見せている。問い合わせは同社(0283・22・0001)。(川岸等)

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