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「100日後に退職する47歳」作者が経験したミドル層転職と“年齢の壁” (3/3ページ)

SankeiBiz編集部
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「クイックソートの計算量」で騒然

 TOMEさんの場合、現在は転職で実生活が良い方向に向かっているが、途中経過ではやはり40代の転職は甘くないという現実もあった。新しい職場を決める前にエージェントを通して転職活動をしたところ、年齢の壁を感じることが少なくなかったという。

 年齢がネックになって採用試験で次の段階に進めなかっただけではない。ある大企業のオンライン面接では、技術的な質問の受け答えをしている際に「(データを並び替える)クイックソートの計算量」を聞かれて面食らった。

 クイックソート自体は知っている技術だったが「計算量まで細かく聞かれるとは思っていなかったので、気にしたことはない、としか答えられませんでした」。20年前からさまざまな試験を受けているTOMEさんだが、それまでに聞かれたことはなかったという。

 この体験を分かりやすく編集して漫画に描き、Twitterに投稿するとITエンジニアたちが騒然となった。読者からは、TOMEさんと同様に「気にしていない」「試験対策しないと答えられない」という反応が目立ったほか、「困難に直面したときの反応や性格を見たかったのでは」と面接官の意図を探る書き込みまで見られた。

 惜しくもその会社からは内定が出なかったが、制限時間内に要求されたプログラムを作る実技試験を“昭和のプログラマー”の底力で合格した点については満足できたそうだ。一方で「もし自分が27歳だったら、面接で同じ受け答えをしても受かっていたのでは。47歳だと伸び代がないと思われてしまうし(人材として)完成していなければならないから」との考えも浮かんだと話した。

ミドル層にもチャンスあり

 TOMEさんによるとエンジニアに求められるスキルは年々上がっており、20年前の教科書に載っていることを暗記していても現在は「戦えない」。最新の技術を学び続けることが重要だが、家庭を持つと勉強の時間を作りにくくなり、いざというときに付け焼き刃であることが露呈する恐れもある。今年は「45歳定年制」をめぐる議論が話題を呼んだが、ITエンジニアのように専門性の高い職種でも40代になってから転職に備える事自体の難しさがうかがえる。

 厚生労働省の統計では昨年の45~49歳男性の転職入職率は5.2%とされている。転職入職率は20代から30~34歳(11.1%)までは10%台前半をキープしており、それより上の年齢層になると下降の幅が大きくなることから、巷間指摘される転職の「35歳限界説」と合致する部分も見られる。

 ミドル層の転職は簡単ではないが、TOMEさんは「この歳でも転職できるということが漫画を通して伝わればうれしいですね」と転職検討者にエールを送る。連載中に誕生日を迎えて48歳になったが、今後も読者に親しみのある「47歳」の肩書で活動したいという。現在はTwitterで新作「ツイッター漫画を描く47歳」を執筆中だ。

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