金融

米と産油国が神経戦 石油備蓄、初の協調放出…バイデン氏「価格を適正化する」

 【ワシントン=塩原永久】バイデン米大統領は23日演説し、日英などと協調して石油備蓄を放出すると発表した。米国の放出規模が「過去最大だ」と述べ、原油価格の高騰が「産油国や大企業が迅速に供給を増やしていないためだ」と批判。サウジアラビアやロシアなどの主要産油国に圧力をかけた。米国による「警告」と言われる協調放出だが、産油国側は歩み寄りを拒む構えもみせており、神経戦が激しくなりそうだ。

 米国は戦略石油備蓄(SPR)から5千万バレルを数カ月かけて放出。インド政府も500万バレルを市場に出すと発表した。英メディアによると英国政府は民間備蓄から150万バレルの放出を認める方針という。

 バイデン氏はホワイトハウスで演説し、「原油価格を適正化する大規模な取り組みだ」と説明。「時間を要するが、ガソリン価格は下がる」と語った。米国が備蓄放出を主要消費国と協調して行うのは「初めて」(米政府高官)という。新型コロナウイルス禍からの経済回復で原油価格が高騰し、供給量を増やして価格を引き下げる狙いがある。

 自動車社会の米国でガソリン価格上昇が庶民生活を直撃。物価高への対応はバイデン政権の優先課題となっていた。原油先物価格は先月下旬に約7年ぶり高値を記録。同じころ、支持率低迷に悩むバイデン氏は、産油国のサウジやロシアへの批判を強め、増産を働きかけてきたとされる。

 米国主導の備蓄放出は石油輸出国機構(OPEC)への「警告だ」(ロイター通信)とされ、米国は「他国と連携した追加的措置も準備している」(高官)と一歩も引かない構えだ。

 一方、サウジを盟主とするOPECとロシアなど非加盟の産油国でつくる「OPECプラス」は、価格維持のため生産を抑制する可能性があると伝えられており、米国に真っ向から挑戦する構えをみせている。

 ただ、バイデン政権が発表した5千万バレルの放出規模は、米国の消費量の3日分に過ぎない。「想定より少ない」(市場関係者)との声も出ており、23日のニューヨーク原油先物相場は続伸。米国産標準油種(WTI)の来年1月渡しが前日比1・75ドル高の1バレル=78・50ドルで取引を終えた。

 気候変動対策を重視するバイデン氏は、英国で13日まで開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に参加し、対策強化で出遅れていると首脳不参加のサウジなどを批判した。米政権が化石燃料からの脱却を目指す中、原油調達で依存したサウジなど中東産油国との関係希薄化も指摘される。世界的な「エネルギー革命」を背景に、原油価格をめぐる米国と産油国との亀裂が、一段と深まる恐れもある。

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