金融

SBI待ついばらの道 新生銀行TOB、強気の代償大きく

 SBIホールディングスの新生銀行に対するTOB(株式公開買い付け)は24日、買収防衛策の取り下げで成立の公算が大きくなったが、首尾よく傘下に収めても新生銀の経営再建はいばらの道だ。2カ月余りの攻防を通じ、株主の支持獲得に向け約束した最終利益の引き上げ目標は現行の1・5倍超。大手銀行で唯一残る公的資金の返済に道筋を付ける必要もあり、実行力が問われることになる。

 SBIが事前協議なくTOB実施を表明したのは9月9日だった。消費者金融関連ビジネスなどに強みがある新生銀を傘下に入れることの相乗効果を見込み、直前は1株当たり1300~1400円台で推移した株価に対し「破格」(大手銀関係者)の2千円という買い取り価格を提示した。

 交渉を通じても強気を貫いた。新生銀が10月21日に求めた買い付け上限撤廃や買い付け額の引き上げといった条件変更は即日拒否。令和3年3月期に451億円だった新生銀の最終利益を7年3月期に710億円に引き上げる計画を示し、既に資本業務提携した地方銀行との取り組みも例に、「新生銀との最大の違いは経営戦略、実行力の差」と株主にアピールを続けた。

 最大の攻めどころは、旧日本長期信用銀行時代に注入され返済が滞った約3500億円の公的資金だ。SBIの北尾吉孝社長は「10年、20年単位で金を返さないのは泥棒と一緒」だと強調。「われわれなら(新生銀を)必ず変えてみせる」と秋波を送り2割の議決権を握る政府を防衛策反対に回らせることに成功した。

 ただ、SBIは今後、こうした“公約”の達成を株主と政府の双方から問われる。政府が保有株の売却を通じて公的資金を回収する現行の枠組みでは、1株当たりの株価を7450円まで高める必要があるが、新生銀の現経営陣と同様に具体的道筋は描けていない。

 投資家の村上世彰氏が関わる投資会社など「物言う株主(アクティビスト)」が新生銀株を大量保有したことも判明。元金融庁長官の五味広文氏らを経営陣に送り込むといった今後の経営計画も、“順風”には済まなくなる可能性がある。

(高久清史)

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