レノボ、PC生産を日本移管 「メード・イン・ジャパン」でイメージ向上狙う

2012.3.21 05:00

 中国最大のパソコンメーカー、レノボが、中国で生産している法人向けパソコンの一部を日本国内での生産に切り替える方針を固めたことが20日、わかった。納期の大幅短縮と日本市場でのブランドイメージ向上を狙い、NECブランドのPCを生産している米沢工場(山形県米沢市)へ、年内にも移管する。PCの世界生産の9割以上を中国製が占める中、「メード・イン・ジャパン」への回帰が広がることで、国内雇用を下支えする効果が期待される。

 米沢工場への生産移管を検討しているのは、レノボブランドの法人向けPCのうち、搭載する機能やソフトを顧客の注文に応じて調整する「カスタマイズ品」。現在は中国で生産しているため納期が約10日間かかっているが、国内に移管すれば最短で3日程度に短縮され、注文への素早い対応が可能となる。

 また、輸送中の衝撃などによる初期不良のリスクが少なくなるメリットも期待。さらに、生産ラインの従業員の質や製品の信頼性が高い「日本製」をアピールすることで、法人顧客が重視するブランドイメージの向上も図れる。

 レノボは、日本国内のパソコン事業を昨年7月にNECと統合、合弁会社のレノボNECホールディングスを設立した。レノボ・ジャパンとNECパーソナルコンピュータは子会社で、それぞれのブランドでPCを生産。国内シェアは計23.0%(2011年、MM総研調べ)と首位を占め、14年までに30%への成長を目指している。

 レノボと同様の狙いで先行しているのが、競合メーカーの米ヒューレットパッカードだ。サーバーや個人向けデスクトップPCを生産していた昭島工場(東京都昭島市)で、昨年8月から法人向けノートPCの生産も開始。従来は10日かかっていた納期を半減させるとともに、「メード・イン・東京」を前面に打ち出して売り込みをかけている。

 また国内勢でも、富士通が島根県と福島県で生産したPCを「出雲モデル」「伊達モデル」と名付け、PRに躍起だ。

 足元では円高が国内製造業の重い足かせとなっている一方、中国でも経済成長に伴い人件費の上昇が続いているため、「輸送コストや納期など日本生産が有利な面も見え始めた」(業界関係者)との声も広がっている。

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