スマートテレビ普及へ総務省検討会 韓国勢先行に巻き返し

2012.11.11 07:45

 インターネットに接続し、パソコン同様の機能が使える「スマートテレビ」の普及をにらみ、総務省はネット経由の有害情報の規制や、災害時の緊急放送のあり方を議論する検討会を12日に発足させる。

 高精細な映像技術「4K」や「8K」を使ったテレビの普及策も話し合い、来春をめどにロードマップ(工程表)を策定する。次世代放送サービスを早期に実用化、日本発の放送技術や放送番組を海外に発信し、韓国勢に後れを取ったテレビ市場で巻き返しを図る。

 12日に立ち上げる「放送サービスの高度化に関する検討会」には、放送、通信事業者のほか、パナソニックやソニーなど大手家電メーカーも参加する。

 スマートテレビは通常のテレビ番組に加え、ネット経由で動画や音楽を表示。他の視聴者とのコミュニケーションや買い物もできる。MM総研によると、昨年度の27万台から平成28年度末には610万台の普及が見込まれる有望分野だ。

 ただ、「ネットを通じ、不適切な情報や番組がお茶の間に流れる心配がある」(総務省)ため、検討会では有害情報の規制のあり方を議論する。災害などの緊急時には、通常のテレビの緊急放送に切り替える技術の標準化も検討する。

 家電各社が相次いで参入を表明している4Kテレビについても、具体的な普及目標を策定する。国内メーカーは、現行のハイビジョンテレビで中国、韓国勢相手に苦戦しており、新分野の4Kや8Kで、技術革新やサービス拡充を急ぐ。

 日本はテレビ本体だけでなく、テレビ番組(地上波放送)の輸出でも苦戦し、22年の輸出額は63億円で韓国の165億円を大きく下回る。総務省は、次世代テレビの実用化支援と合わせ、「国家戦略として強力に推進していく」方針だ。

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