大都市圏マンション、回復鮮明に 首都圏1~6月発売戸数は17.1%増

2013.7.17 06:00

 大都市圏のマンション市況が、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」を背景に回復基調にある。不動産経済研究所(東京都新宿区)が16日発表した1~6月(上期)のマンション発売戸数は、首都圏(1都3県)が前年同期比17.1%増の2万4299戸と上期で2年連続の回復となった。近畿圏(2府4県)も同9.5%増の1万1318戸でプラスとした。

 足元の市況について、同社の福田秋生・取締役企画調査部長は「需給ともに好調」と分析。日銀による「異次元」の金融緩和以降、住宅ローン金利の先高感が強まっており、消費者の間で「購入の決断が早まる傾向にある」(三井不動産の菰田正信社長)という。

 契約率も首都圏が78.8%、近畿圏が80.4%で、契約の好不調の目安とされる70%の水準を大きく上回った。

 また、億ションなど高価格帯の物件が増え、マンション1戸当たりの平均価格も、首都圏が同4.8%(219万円)高い4736万円に、近畿圏が同1.8%(61万円)高い3532万円にそれぞれ上昇した。

 ただ、同社は今年の年間発売戸数を首都圏が5万戸、近畿圏が2万5000戸にそれぞれ予想を据え置いた。首都圏の場合、リーマン・ショックの影響が出た2008年の水準(4万3733戸)は上回るものの、その前年の07年(約6万1000戸)にも遠く及ばない見通しだ。今後急激にローン金利が上昇すれば「マンション需要が一気に減り、市場が壊れる可能性もある」(福田氏)と懸念する声も出ている。

 マンション業界では、「住宅投資促進など内需主導の成長戦略が不可欠」(三菱地所の木村惠司会長)と、来年の消費税増税もにらみ、支援策拡充への期待感が強い。

閉じる