教育現場でタブレット活用拡大 アップルとMS、シェア争い激化

2014.6.14 07:44

 学校の授業で生徒にタブレット端末を配布し、活用する動きが広がってきた。生徒同士で双方向に教え合って学び合えるほか、個々のレベルに応じた学習ができる利点があり、その効果が期待されている。国も2020年までにすべての学校でタブレット端末を1人1台配布しようとしており、米アップルや日本マイクロソフト(MS)が自治体や教育委員会への売り込みに力を入れている。

 佐賀県は4月から全国で初めて県立高校の新入生を対象にタブレット端末を使った授業を開始した。これに伴い、昨年7月にタブレット端末の基本ソフト(OS)選定を行った。

 端末の使いやすさから、アップルの「iPad(アイパッド)」が有利とされてきたが、MSのワードやエクセルといった従来のパソコンソフトとの連携などの面も考慮し、MSのOS「ウィンドウズ8」搭載のタブレット端末の採用が決まった。

 今後、大きな自治体では大阪市が本格的にタブレットの導入を検討しているほか、全国の学校でタブレットの活用が広がることは確実。先行して普及するアイパッドの操作性、アプリの数・質で自信があるアップルだけに、日本MSとのシェア争いは激しさを増しそうだ。

 アップルや日本MSが国内の教育市場への関心が高いのは、大きなビジネスチャンスがあるからだ。調査会社IDCジャパンによると、18年に国内の教育用タブレットの出荷台数は、現在の5.1倍の128万台、タブレットを活用したシステム構築などソリューション市場の売上額は同2.9倍の759億円に拡大する見通しだ。

 日本MSの樋口泰行社長はタブレット端末の普及に力を入れる理由について、「子供のころから当社の製品を利用してもらうと、大人になってからも使ってもらえる。長期的な戦略でも非常に重要」と強調する。

 ただ、教育現場でのタブレット端末の普及には課題もある。4月からタブレットを使った授業を始めた佐賀県の高校では1台5万円の端末を自費購入する形にしたため、保護者から負担が重いとの声もあった。本格的に普及させるには「国の補助の拡充やメーカーによる端末価格の引き下げが必要」(学校関係者)との意見も出ている。(黄金崎元)

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