パナソニックや東芝、特許を外部にライセンス供与 外貨獲得に期待

2014.9.23 06:02

 電機メーカーが自社の特許を外部にライセンス供与するなどして活用する動きが広がっている。パナソニックは特許など知的財産に関する業務を担当する新会社を設立、10月に営業を開始する。東芝も今年から専門組織を設置し、自社で使わない「休眠特許」の収益化を狙う。日本経済の貿易赤字が続く中、特許は外貨獲得手段としても期待される。

 パナソニックが設立した新会社「パナソニックIPマネジメント」(大阪市)は、特許の出願や権利化、管理、譲渡に関する交渉など、グループ内の知財業務を一括して担当する。

 別会社にすることで業務を効率化し、経費を削減するのが目的だが、休眠特許やライセンスの活用などにも力を入れていく方針だ。

 一方、東芝は1月、半導体部門に休眠特許などの活用に取り組む専門チームを設置。ライセンスビジネスに詳しい外国人の専門家を責任者に招いた。

 東芝は半導体の製造や設計などに関する特許を多く持ち、主力の記憶用半導体では情報漏洩(ろうえい)に注意を払う。ただ、スマートフォンで使う通信半導体の特許などは「事業で生かしきれていない」のが現状で、他社やベンチャー企業にライセンス供与する考えだ。2018年度に特許収入を100億円にする目標を掲げる。

 特許出願件数で海外勢に先行してきた国内各社だが、事業の選択と集中を進める中、利用しない特許も増えていることも後押ししている。

 休眠特許の活用は外貨獲得の新たな手段としても期待でき、燃料費の増加などで貿易赤字が慢性化している日本経済にとっても追い風となる。

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