【クールジャパンの匠たち】「ガールズカルチャー」台湾に熱気

2014.12.20 05:00

 □よしもとクリエイティブ・エージェンシー執行役員 永谷亜矢子

 見るだけでなく、自身で体験し、心を躍らせる体感が、強い共感を呼び覚まし、大きなうねりをつくっていく。11月22、23日、日本が世界に誇るガールズカルチャーを集結させ、史上最大規模で展開する「スーパーガールズエキスポ」が台北で開催された。現在進行形で動く台湾の空気を鋭敏にすくい取り、あこがれのまなざしが注がれている最新の日本のトレンドやスタイルをクールかつ濃密に伝えていく体験型イベントを成功に導いた。

 躍動する台湾の象徴として世界一の高さを誇ったランドマークの台北101に近い街の心臓部に巨大なテントが設営され、ファッションやビューティーはもとより、グルメにスイーツ、音楽、アート、さらにお笑い、日本の地域産業などを延べ4万人もの来場者が目の当たりにした。ファッションショーにライブ、トークがステージで次々と繰り広げられ、会場内には撮影コンテンツがいくつも用意された。日本からファッションスタイリストやメーキャップアーティストらが参加し、体験ブースには終日、長い行列が続いた。

 来場者は思い思いに写真を撮り、それぞれが感激の言葉とともにSNSに発信して自らは主人公となり、共感を呼ぶメディアそのものとなっていく。台湾中から108もの媒体が取材に訪れ、情報がボーダーレスに拡散していった。

 「来場者が体験し、思いを発信することからマーケティングがなされ、ニーズが掘り起こされます。ライフスタイルは多角化し、女の子が心を動かすものも大きな広がりをみせているのは、日本でも海外でも同じです。台湾では、現地の流行を紹介しながらリアルな日本の情報を届ける人気番組を昨年から一緒に制作して意識喚起の下地もつくり続けています。ライフスタイルを充実させたいという思いにクオリティーの高い日本のコンテンツは大きな訴求力を持ち、ブランディングされ、新たな流通が生まれればと願っています」

 2005年に始まった東京ガールズコレクション(TGC)でチーフプロデューサーを務め、新しい空間メディアを創生した。幅広いカテゴリーのコンテンツを集約し、さまざまな媒体と連動させて、TGCでしか体験できないスタイルを提案してきた。台北では一昨年から2年連続で「スーパーガールズフェスタ」を開催し、今年4月には大阪で「日本女子博覧会」を開いている。パワーアップされた今回のイベントではJ-LOP(ジャパン・コンテンツ ローカライズ&プロモーション支援助成金)を受け、日本のカルチャー発信に新しい可能性を開いたと高い評価を受けた。

 「アジアの主要地は会場が不足しているので、今回は屋外の巨大な駐車場を使い、テントを設営するという新たなイベントのモデルケースをつくりました。モデルやアーティスト、芸人など登場者とコンテンツを優先させたものづくりをして、日本の良いものを最良の形で伝えたいと考えました。情報誌の編集からものづくりに携わり、人がいかに心を動かすかを学ばせていただきました。日本人は緻密で、繊細なものづくりはライフスタイル全般で非常に高いクオリティーを誇っています。地域産品や伝統工芸も含め、日本のすばらしさをより広く伝えていきたいと願っています」(谷口康雄)

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【プロフィル】永谷亜矢子

 ながや・あやこ 愛知県生まれ。立教大学を卒業し、リクルートに入社。営業、企画、海外旅行や結婚情報誌の編集を担当し、ITベンチャー企業でファッションショーなどの制作に携わる。2005年に「東京ガールズコレクション」の立ち上げに参画し、チーフプロデューサーに就任。新聞、テレビ、雑誌、携帯、ウェブのメディアと連動し、販売促進や流通開発、商品開発を包括した大型イベントを築き上げる。11年、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに入社。現在、執行役員。国内、アジアで女性向け事業の創生を行う。ファッション、美容、グルメ、音楽、お笑い、日本の地域産品や最新の流行などを盛り込んだイベントを内外でプロデュースしている。

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