【フロントランナー 地域金融】豊田信用金庫・鶴田多計志氏(3)

2014.12.31 05:00

 □豊田信用金庫 山之手支店長・鶴田多計志氏(3)

 ■特定分野の知識習得を支援

 豊田信用金庫山之手支店(愛知県豊田市)の鶴田多計志支店長によると、取引先に業界の情報を提供していると、それがきっかけとなって顧客から詳しい情報を聞き出せることも多いという。そうして得た情報は支店内で共有し、守秘義務に触れない範囲で別の顧客に提供する。

 「同業他社の情報は気になるものなので、こうした情報提供をきっかけに信頼関係を深め、融資ニーズのキャッチに結びつけるよう心掛けている」

 担当者に持たせる“情報”はこれだけではない。豊田信金が業種別に行っているアンケート形式の景気動向調査も、格好のネタになる。調査結果を示しながら資金繰りの話題を振ると、本音を聞き出せることも多い。

 太陽光発電も切り口の一つだった。工場の屋根に設置してはどうかとアドバイスし、設置費の融資につながったケースがいくつもあったという。

 ものづくり補助金に関する情報や補助金活用セミナーヘの参加案内を取引先に伝えることも徹底。本部の経営支後部と連携し、2013年度は補助金の申請書に添付する事業計画の作成で取引先6社をサポート。採択されたのは2社だったが、残り4社にはグループ会社、とよしんリースと連携して融資やリースを提案し、成約に結びつけた。

 営業活動の体制づくりとして鶴田氏が掲げる3つ目は「知識習得の支援」だ。山之手支店では各地区を受け持つ若手の担当者をそれぞれ住宅ローン、(信用保証協会が融資を保証する)「マル保融資」、基盤項目、預かり資産の責任者に任命。「分からないことがあれば各分野の担当者に聞けばいい」といった存在になるように、特定分野の知識やセールストークを集中して習得させている。

 誰にも負けない分野があることが担当者の自信になり、それが日ごろの営業活動にもプラスの効果を与えるというわけだ。

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 (編集協力)近代セールス kindai-sales.co.jp

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【プロフィル】鶴田多計志

 つるた・たけし 1978年豊田信用金庫入庫。保見支店長、浄水支店長、第7ブロック長兼岡崎支店長などを経て、2013年6月から第2ブロック長兼山之手支店長。58歳。モットーは「願『一隅を照らす』」。

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