本気度見えない“VAIOスマホ” ソニーに気遣い「戦う気はない」

2015.3.13 06:34

 ソニーのパソコン(PC)事業が独立して昨年7月に発足したVAIOが、日本通信と協業して初めてスマートフォンを投入する。

 「ソニーと本気で戦う気はない。新たな挑戦の許諾を快くもらっている」。ソニーに気遣いをみせるのはVAIOの関取高行社長だ。携帯電話事業の不振に苦しむソニーは、子会社のソネットと組み、自社ブランド「エクスペリア」シリーズの旧モデルを今春から販売する。

 昨年以降、5月からのSIMロック解除を見据えて中国や韓国勢に加え、富士通やシャープなど国内勢も端末を供給するなど、にわかに格安スマホ市場が盛り上がっている。

 そうした中、ブランド力の高いVAIOのスマホ初参入に大きな注目が集まっていたが、今回発表した端末について「斬新性を期待したが、普通のスマホと変わらない」(証券アナリスト)と手厳しい声が多かった。

 今回は、VAIOがデザインを監修、基本ソフト(OS)やソフトウエアは日本通信が担当した。VAIOの花里隆志執行役員が「当社には通信端末のノウハウはない。そこは協業が良いと判断した」と語るように開発への関与は低かった。開発期間も半年と短い。

 機能的にも、ほかの端末と差別化できている要素は少なく、高いブランド力でどこまで販売が伸ばせるかは未知数だ。ソニーへの配慮が残り、VAIOのスマホに対する本気度はまだ見えない。

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