トヨタ、部品共通化でクルマ作り改革 「個別車種ごとは量の拡大とともに困難」

2015.3.27 06:10

 トヨタ自動車がクルマ作りの改革を進めている。車の基本構造を全面刷新して性能を向上し、部品の共通化を図るもので、新たなプラットホーム(車台)を年内に発売する新型車から採用、2020年ごろに販売する車の半数に展開する計画だ。同様の取り組みは世界首位を争う独フォルクスワーゲン(VW)が先行しており、トヨタも世界販売が1000万台を超える中、成長を維持するための態勢固めを急ぐ。

 「これまでの個別車種ごとのクルマ作りは量の拡大とともに困難になっている。持続的成長のため、全社を挙げて構造改革に取り組んでいる」

 加藤光久副社長は26日、愛知県豊田市の本社で開いた記者説明会でこう強調した。

 トヨタが進めているのは新たな開発手法「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー」(TNGA)。車の基本となるプラットホームやエンジンなどのパワートレーンを一体的に開発して、トヨタ車全体の性能を向上。部品も複数の車種をまたいで開発し、共通化するのが柱だ。

 狙いは、コスト削減と商品力の向上。トヨタは世界各国で展開する中、プラットホームが約100種類に増えるなど、開発する人材や時間が膨らむ。一方で、各地域の消費者の好みや安全基準にあう車を効率的に開発する必要がある。

 部品の共通化によって部品を一括して発注することができればコストを削減でき、その分を先進装備などの充実に回せる。さらに、製造工程の短縮など生産の効率化にもつながる。

 同社が同日発表したTNGAに基づく新プラットホームは低重心化やボディー剛性の向上を実現。今年発売予定のハイブリッド車(HV)「プリウス」の新型車に投入される見込みだ。

 こうした共通化戦略は他社も進めており、トヨタはライバルであるVWの後塵(こうじん)を拝している。

 VWは複数車種での設計標準化や主要部品をモジュール化する手法「MQB」を12年発売の新型「ゴルフ」から採用。すでにMQBベースの車は販売台数の15%以上を占めており、今後、インドなど新興国で支持されるグループの「シュコダ」ブランドなどに展開。18年にはグループで700万台に拡大する強気の目標を掲げる。

 部品の共通化は半面、不具合があった際のリコール(回収・無償修理)費用が莫大(ばくだい)になるなどのリスクがある。

 トヨタの改革は、TNGAに基づく新型車の開発から生産にスムーズに移行し、豊田章男社長が掲げる「もっといいクルマ」を消費者に提供していけるかが鍵を握る。

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