2015.4.4 05:00
□ぱちんこジャーナリスト、LOGOSインテリジェンスパートナー・POKKA吉田
■ギャンブル性の抑制 のめり込み対策になるか
前回寄稿した際、ぱちんこメーカー組合の日本遊技機工業組合(日工組)がぱちんこの仕様についての自主規制を検討していることに触れたが、これが3月5日に正式決定した。内容は専門的な部分を除くと3つで「初当たり確率分母が320未満」「総量期待値6400個超えの設計の場合は、初当たり時に最大出玉の3分の1以上、かつ、600個以上担保(突確の場合は次回大当たりで担保すればOK)」「今年11月以降は当該規制型式のみ販売設置可能」というものだ。
昨年、カジノ法制化が国会で議論になった際「日本人の成人の536万人にギャンブル依存症の疑いがある」という厚労省研究班の調査結果が発表されたことを受けて、警察庁がぱちんこ業界全体に「のめり込み対策」を強く要請した。日工組の今回の自主規制はこれを受けてのモノである。
日工組の今回の自主規制はギャンブル性抑制という点ではかなり機能する。規制前の型式は399分の1確変継続率80%以上などの超ハイリスクハイリターン性能が人気であった。しかしこれは5万円、あるいは10万円以上の勝ち負けが発生するものでもある。今回の自主規制でこのような設計が不可能となる。
一方で、のめり込み対策としては実は疑問符が付く。そもそもギャンブル性が抑制されればのめり込み対策になるという専門的な知見を私は知らない。むしろ逆で、ニューヨーク州などで人気のペニースロット(1セント単位のスロットマシン)がギャンブル依存症を誘発しているという分析もあるくらいだ。
ただ、警察庁はのめり込み対策として日工組には強くギャンブル性抑制を要請していた。ぱちんこを規制する風営法は「著しく客の射幸心をそそるおそれ」を禁止しており、この程度を「射幸性」と呼ぶ。射幸性にはギャンブル性が含まれているので、風営法の趣旨としては今回の自主規制は正解である。
なお、日工組はこの後もギャンブル性の自主規制第2弾を検討している。
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【プロフィル】POKKA吉田
ぽっか・よしだ 本名・岡崎徹。1971年大阪生まれ。東京在住。神戸大学経済学部中退。ぱちんこ業界専門のジャーナリスト。「パチンコオカルト信者につけるクスリ」(扶桑社新書)など著書、連載など執筆業およびテレビ出演、講演など多数。