ドコモ「M2Mプラットフォーム」で地方創生に貢献 新潟市の農業ICT参画

2015.5.21 14:54

 NTTドコモが新潟市などと「革新的稲作営農管理システム実証プロジェクトに関する連携協定」を締結した。14日の記者発表でドコモの加藤薫社長は「農業ICTに積極的に取り組みたい」と述べるとともに「地方創生といわれている。農業だけでなく観光、交通などNTTグループ全体で推進していきたい」と意気込みを表明した。農業特区として注目される新潟市と組むことで、クラウドサービスを活用したM2M(MtoM=マシン・ツー・マシン)プラットフォームの有効性を浸透させたいという狙いも見える。

 実証実験は東大発ベンチャー企業のベジタリア(東京都渋谷区)が開発した水田センサー、水田管理システムを活用することで大規模農家の省力化や生産性向上につなげようというもの。13法人を含む22の農業生産者が所有する約460ヘクタールが対象となる。ドコモは通信ネットワーク、タブレット、スマートフォンの端末機器を提供する。

 湿度、気温、水位、水温などを自動計測して集めたデータはウォーターセル(新潟市中央区)のクラウド型農業生産管理ツール「アグリノート」で解析したうえで各端末に届ける。農家は点在する水田まで行く手間が省けるほか、天候予測、農作業記録、病害虫注意報を知らせたり、地図情報や航空写真を利用した営農管理も行う。

 ベジタリアの小池聡社長は「収集したデータをクラウドに蓄積するためにドコモのネットワークが武器になる」と話す。サーバーを設置したくても、法律で「農地」に建造物は建てられないという事情もあった。

 また、日本一の水田面積を誇る新潟市の篠田昭市長は「大規模といっても飛び地が多く集約化が進まなかった。農作業の半分が移動時間という場合もある」と現状に触れ、「農業特区の効果を大きくするプログラムだ。長年の勘に頼っていたものを科学的に分析し、省力化することでまだまだ発展の可能性がある」と期待を寄せた。

 クラウドサービスを使って情報や端末を一元管理するドコモのM2Mプラットフォームは、遠隔地にある機械などをインターネットの管理画面からそれぞれコントロールできる。M2MはIoT(インターネット・オブ・シングス)とも呼ばれ、収集した情報を分析し各端末を最適に制御する技術。生産性向上につながる法人向けサービスとしてプラットフォームを提供している。

 実証実験は来年3月末までだが、加藤社長は「成果だけでなく課題も出てくるだろう。それも踏まえて全国に情報発信していきたい」としており、農業を端緒に地方創生のさまざまな分野でM2Mプラットフォームを活用した貢献が予想されるところだ。

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