東芝、後任社長選び難航 不適切会計で主要事業に“傷” 20日に第三者委が報告書 

2015.7.18 07:00

 東芝は17日、不適切会計問題を調査している第三者委員会(委員長・上田広一元東京高検検事長)の報告書を20日に受け取ると発表した。現場に強い圧力をかけ、不適切な会計処理を促した経営陣の責任を追及するほか、そうした要求を拒否できなかった社内風土にも言及し、全社的な問題だと厳しく指摘する。また、主要役員の大半が責任を問われる見通し。このため辞任の意向を固めた田中久雄社長の後任人事の難航が予想されるなど再生に向けて前途は多難だ。

 東芝は21日に会見を予定しており、田中社長が出席して辞意を表明する公算が大きい。9月の臨時株主総会までに後任を決める必要がある。

 ただ、今回の問題は社会インフラや半導体、パソコン、テレビなど同社の主要事業のほぼすべてで起きたため、“傷”がついていない役員を探す方が難しい状況。4人の副社長全員が問題のあった時期に各部門のトップを務め、執行役も当時何らかの形で関与している可能性がある。

 また、問題の背景には西田厚聡相談役と佐々木則夫副会長の対立が指摘されている。両氏に親しい幹部が社長に就任すれば、再び社内抗争の火種となり、外部から厳しい批判を受けることも予想される。

 50年前に経営難に陥った東芝は、石川島播磨重工業(現IHI)の土光敏夫氏を社長に招聘(しょうへい)し、再建に成功した。今回も、外部から経営者を招くべきだとの声も社内にある。

 ただ、「東芝は事業領域が広く、適任者は少ない」(東芝OB)、「異業種から招いてもうまくいかないだろう」(銀行首脳)と、否定的な意見も根強い。

 田中社長は6月の定時株主総会で「創業以来の最大の危機」と述べたが、この難局を誰に託すのか、注目を集めそうだ。

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