飲料各社、訪日客向け自販機導入加速 外国語音声で案内

2016.2.11 06:28

 飲料各社が相次ぎ外国語対応の自動販売機を導入している。急増する訪日外国人に利用してもらうことで、減少傾向が続く自販機での売り上げアップにつなげるのが狙いだ。春節(旧正月)で来日している中国人観光客が自販機にも押し寄せるだろうか。

 アサヒグループホールディングス(HD)は今年に入り、東京・浅草の雷門そばに外国語の音声で対話できる自販機を設置した。音声サービスは当初、英語のみだったが、今では中国語のサービスもしている。消費者がお茶やコーヒーなどの分類を選択すると、音声を通じて端末から糖分や炭酸の有無、カロリー量などの商品情報が提供され、消費者は好みの商品が選べる仕組みだ。

 日本コカ・コーラは昨年12月、英語と中国語、韓国語など15言語に対応した自販機を導入した。商品ディスプレーについたQRコードをスマートフォンで読み込むと、商品情報などが15言語で表示される。2020年までに全国で8万台の導入を目指す。キリンビバレッジも昨年10月、英語、中国語、韓国語の3カ国語で商品の栄養成分表やカロリーを液晶画面で表示する自販機を導入した。

 飲料各社が自販機の訪日外国人向けサービスを強化する背景には、自販機での販売が減少していることがある。コンビニエンスストアなどとの競争激化により、売り上げは減少傾向をたどる。飲料総研によると、販売のピークは1997年の7億2000万ケースに対し、2015年はピーク比約24%減の5億4500万ケースにまで落ち込んだ。

 もっとも、訪日外国人の多くは自販機に興味を持っているが、アサヒグループHDは「どんな商品が売っているかわからないことから購入に二の足を踏む人も少なくない」(お客様生活文化研究所情報調査解析室の上藪寛士マネージャー)と指摘する。飲料各社は多言語対応の自販機を導入することで、訪日外国人の利用促進を図る考えだ。

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